プロ野球亭日乗BACK NUMBER
阪神の遠征日程を考えると可能だ。
「秋の甲子園」、高野連は検討を。
posted2020/05/21 11:50
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
夏の甲子園大会と各地方大会の中止が20日、正式に発表された。
「まさしく断腸の思いです」
同日午後6時から行われた会見では日本高等学校野球連盟・八田英二会長が、中止決断に至った理由をこう説明した。
「確かに色々な方々から何とか開催できないかという声は届いていました。最終的な決断は高校野球が教育の一環ということ。その理念に照らし合わせると中止をせざるを得なかった。球児の安全、安心に最大限の配慮をした苦渋の決断だった」
政府の緊急事態宣言が続々と解除され、最も感染者数の多かった東京都でも5月20日には新規感染者数が5人まで減少している。
「中止決定の先送り」という声もあったが……。
こうした状況から、「中止決定の先送り」という声も関係者から出ていた。しかし何より学業優先という建前がある。
そして第2波、第3波の可能性がある中で、集団での移動リスクや宿泊などの危険性を考慮。また全国で感染状況が異なり、1地区でも代表校が欠けた場合は全国大会が成立しないという従来からの基本方針もある。
何より先行きが見えない中で、最後は選手と関係者の安全を最優先するための決断だった。
3年間をこの夏にかけて練習してきた選手たちには、余りに残酷な決定である。いまこの瞬間も、多少のムリをしても、試合をやらせて欲しいと思う球児たちの気持ちも想像に難くない。
ただ、いまは少し穏やかに見えても、それこそ1週間先、2週間先は不確実なのが、このウイルスの恐ろしさだ。そのことを思えば、中止も止むなし、賢明な選択と言うしかないし、その決断をするのが、高野連の仕事、大人たちの責任なのである。