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コントレイルは偉大な父を超える?
ダービーでGI3勝目、まだ成長途上。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/06/01 12:50
力の違いを見せつける形で二冠制覇を達成したコントレイル。これでまだ幼さが残るというのだから完成したらどれだけの馬になるのだろうか。
牡馬も牝馬も無敗の二冠馬。
ラスト100m。コントレイルは内で粘っていた馬たちをかわし、サリオスの追い上げも封じて突き抜けた。
激しく追われるサリオスに3馬身差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。
まったく危なげない完勝だった。単勝1.4倍の圧倒的な支持に応え、2005年の父ディープインパクト以来15年ぶり、史上7頭目となる「無敗のクラシック二冠制覇」をなし遂げた。
それだけでも「歴史的快挙」なのだが、前週のオークスではデアリングタクトが「無敗の牝馬クラシック二冠制覇」を達成している。同一年に牝牡のクラシック二冠を無敗で制した馬が出現したのは、日本の競馬史上初めてのことだ。「戦後初の無観客開催」として競馬史に残るであろう今春のクラシックは、「牝牡の無敗二冠馬が現れた」という点でも競馬史に残るものになった。
ノースヒルズは8年でダービー3勝。
ダービーのゴール後、コントレイルだけが、芝コースをウイニングランで戻ってきた。福永は馬を止めて帽子を取り、馬上から無人のスタンドに礼をした。
「今日はスタンドにお客さんはいませんでしたが、たくさんの方が(テレビの)画面越しに競馬を見てくださっていると思って騎乗しました。今日勝ったことでスターホースの仲間入りを果たしたと思います。この馬が、競馬を応援している方々の気持ちの張りになり、競馬を楽しむための大きな存在になってくれたらいいですね。底が見えないポテンシャルの高さがあり、楽しみしかありません。その馬に騎乗していたことを誇りに思います」
福永2018年ワグネリアン、矢作調教師は2012年ディープブリランテ、前田晋二オーナーは2013年キズナに次ぐダービー2勝目。前田オーナーの兄で、ノースヒルズ代表の前田幸治氏が所有したワンアンドオンリーが2014年のダービーを制しているので、「チーム・ノースヒルズ」の所有馬としては3勝目になる。
生産者のノースヒルズは3勝目。それもキズナ以降の8年での記録である。繁殖牝馬が50頭ほどの規模でこの数字は驚異的と言えよう。