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コントレイルは偉大な父を超える?
ダービーでGI3勝目、まだ成長途上。
posted2020/06/01 12:50
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
航空自衛隊のブルーインパルスが都心上空を飛んで医療従事者を勇気づけた週末、「飛行機雲(CONTRAIL)」と名づけられた駿馬が、歴史的な大仕事をやってのけた。
14週目の無観客競馬として行われた第87回日本ダービー(5月31日、東京芝2400m、3歳GI)を、福永祐一が騎乗した1番人気のコントレイル(牡、父ディープインパクト、栗東・矢作芳人厩舎)が優勝。父ディープインパクト以来15年ぶりの「無敗のクラシック二冠制覇」を達成した。
まさに圧巻の強さだった。
最後の直線に入るとコントレイルの前が開き、いつでもスパートできる態勢になった。それでも福永は手綱を抑えたままだった。
福永の手が動いたのは、ラスト400m地点の手前だった。手綱を持ち直すようにして軽く気合を入れながら、少しずつ外へと持ち出して行く。
その外から、皐月賞で叩き合ったサリオスが追い上げてきた。皐月賞ではサリオスが先に直線に入り、内で待ち構えていたが、この日はまったく逆になった。
「遊びながらダービーを勝ってしまう」
ラスト300m地点。サリオスがコントレイルの1馬身ほど後ろにまで迫ってきた。
福永のアクションが大きくなった。そして、ラスト200m手前で右の逆鞭を入れた。それに応え、コントレイルは目を覚ましたように脚を伸ばす。こうして加速するだけの余力を、まだたっぷりと残していたのだ。福永はこう振り返る。
「直線ではちょっと遊んでしまう。だから追い出しを少し待っていました。抜け出してからも緩められなかったのは、まだまだ集中し切れていないから。そこはこれから改善されてほしい面ではあるのですが、考えてみれば、遊びながらダービーを勝ってしまうんですから、相当優秀な馬だと思います」