デシンセイと話したことがきっかけ。

　最初に尋ねたのは「'92年の来日以前に日本球界について、どれくらいの情報、知識を持っていたのですか？」という質問だった。

「私はヤクルトに入団する前には、エンゼルスでサードのポジションを奪い取ることに精一杯だったので、日本の野球について詳しいことはよくわかっていませんでした。具体的なチーム名も知らず、もちろんヤクルトスワローズも知りませんでした（笑）。

　でも、'91年シーズン終盤にダグ・デシンセイと話したことがきっかけとなったんです。……ダグ・デシンセイという選手はご存知ですか？」

　……いやいや、ハウエルさん。「ご存知」も何も、あのダグ・デシンセイ、知らないはずがないではないか！

ヤクルトにはジョニー・レイがいた。

　関根潤三監督時代の'88（昭和63）年にヤクルトに入団し、この年できたばかりの東京ドーム第1号ホームランを放ったデシンセイだ。続きを聞こう。

「彼とはエンゼルス時代にサードのポジション争いをしていた間柄なんですけど、デシンセイと雑談をしている中で日本野球の話題となりました。それは'91年のシーズン終盤で、このとき私はパドレスに移籍していました。

　ドジャースタジアムで試合をしていたときに（すでに引退していた）彼がやってきて“日本球界に興味はないのか？”とか、“ヤクルトというチームを知っているか？”という話になったんです。彼のひと言がきっかけとなって日本球界のことを調べるようになったんです」

　その結果、デシンセイの口添えでヤクルト入りがとんとん拍子に進んだのだそうだ。家族を伴ってスタートする異国での生活。しかし、ハウエルに不安はなかったという。

「'92年のヤクルトにはジョニー・レイがいました。彼ともエンゼルス時代に一緒にプレーをした仲なので、そういう意味では心強かったです」

【次ページ】　スワローズとエンゼルスの見えない因縁。