ツバメの観察日記BACK NUMBER
黄金時代の立役者、ハウエルに再会。
「マキハラ、サイトウはすごかった」
posted2020/05/16 11:30
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph by
Shoichi Hasegawa,KYODO(in the article)
パソコンのスピーカーから聞こえてきたのは、たどたどしい日本語で口ずさまれた懐かしいメロディだった。
「♪ゴーゴー、サァ、イコウ ゴーゴー、ユメノセテ タヨレル、ナイスガイ ジャック・ハウエル~」
モニター上で微笑みを浮かべている陽気なアメリカ人は「歌詞は間違っていないかい?」と笑い、続けて「“タヨレル”とはどんな意味なの?」と口にした。
そこで、「頼れる」の意味を説明すると、彼は大きくうなずいた。
感謝してもしきれないほどの実績。
ジャック・ハウエル――。
野村克也監督の就任3年目となる1992(平成4)年にヤクルトに入団。来日初年度となったこの年、彼は首位打者、ホームラン王の二冠を獲得してシーズンMVPに輝き、チームの14年ぶりの優勝に大きく貢献する。さらに翌'93年も活躍し、悲願の日本一の立役者となった忘れ難き助っ人だ。
ヤクルトファンにとって、感謝してもしきれないほどの実績を残してくれたハウエルにビデオインタビューをする機会を得た。
緊張を隠せないまま約束の時間にパソコンに向かうと、ほどなくして、現在58歳になっているハウエルが登場する。彼は今、ロサンゼルス・エンゼルス傘下のマイナーリーグのチームで指導者として汗を流している。
僕の記憶の中では、今もなお彼の雄姿が鮮やかに保存されている。聞きたいことはたくさんある。簡単なあいさつを済ませた後に、さっそく質問を投げかける。
ここからしばらくの間、僕は時を超えて黄金時代となった90年代を旅することとなった――。