炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープ3連覇は黒田博樹の帰還から。
緊張感を与えてくれる、最高の見本。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2020/05/13 19:00
黒田が復帰して2年目の2016年、25年ぶりのリーグ優勝を果たした。
カープに今も残る黒田イズム。
その姿勢はチームメートに影響を与えた。
「黒田さんがあれだけやっているのだから、僕たちもやらないわけにはいかない」
後輩たちにとっては緊張感を与えてくれる、最高の見本だった。
広島が2016年から2018年まで3連覇という輝かしい戦績を残した中、黒田が優勝チームにいたのは2016年の1年だけだ。それでも今も黒田イズムは残る。
登板直前にベンチ入りした選手や首脳陣、裏方とのグータッチはクリス・ジョンソンや野村祐輔が受け継いでいる。自分の理想ばかりを追うのではなく「その日のベストを尽くす」姿勢は投手陣に浸透した。シーズンオフになれば、今も広島の選手と食事をする。
広島と黒田の物語は、復帰から引退までの第2章に幕を下ろしても、今もまだ第3章として続いているのかもしれない。