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西田有志、充実の先にある可能性。
「自分が求めているからこそやる」 

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph byItaru Chiba

posted2020/05/08 07:00

西田有志、充実の先にある可能性。「自分が求めているからこそやる」<Number Web> photograph by Itaru Chiba

W杯での活躍、そしてVリーグの優勝と大きな注目を集めた西田。石川らとともに日本バレー界を牽引する存在に成長できるか。

Vリーグ得点王、サーブ賞、MVP。

 W杯の余韻冷めやらぬなか開幕したVリーグでは、彼のプレーをひと目見ようと、毎試合多くの観客が会場へと駆けつけた。その期待に応えるかのように、西田はコート上で躍動し、そのプレーで観客の視線をくぎ付けにした。

「W杯が終わって、本当にたくさんの方々に試合を観に来ていただくことが多くなりました。そういう環境の中でプレーできる嬉しさというものを感じましたし、だからこそ結果を求めなければいけないという責任感もより強くなりました」

 シーズンが終わってみれば所属するジェイテクトSTINGSを優勝に導くとともに、リーグ得点王にサーブ賞、そしてMVPを獲得。特筆すべきは、レギュラーシーズンで日本人初となる得点王(645点)に輝いたことだ。しかも、並みいる海外選手を抑えてのこと。絶対的エースとしての自覚が、大きな成長の証だった。

中途半端なことが嫌いなタイプで。

 大学卒業後にVリーグ入りする選手が多いなか、西田は高校卒業後、社員としてジェイテクトに入社。しかし、約半年後には18歳でプロ選手になることを決断した。Vリーグでプレーする選手はプロ契約を結んでいる選手もいるがごくわずかで、大半が所属している企業の社員選手だ。しかし、西田は安定よりも挑戦する道を選んだ。

「うちの家族全体が中途半端なことが嫌いなタイプで、僕も“やるか、やらないか”でしか考えない。本当に難しい決断ではありましたが、やるのであれば、中途半端な道は選びたくないですし、自分が置かれている状況のなかでバレーボールをするのか、それともバレーボールだけで生きていくのかと考えたとき、バレーボールで結果を残すことが自分の仕事だと思ったので。最後は迷わず決断しました」

 その姿勢はコート上でも如実に現れている。プレー面においても一切の妥協は許さない。

「選択したスパイクのコースや打ち方がうまくいっても、得点になっていなければ、それはミス。僕はポイントを取ることが求められるポジション。そういった場面では(点を)取らなければならないし、取り切れる選手こそ一流のエースだと思っています。それに、厳しい局面でも100%に近い高確率で決め切れるという、絶対的な自信がまだ持てていない。大舞台であればあるほど、緊迫した場面でミスを出さないこと、決め切れる強さが重要になってくる」

【次ページ】 レベルアップできれば楽しくなる。

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