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西田有志、充実の先にある可能性。
「自分が求めているからこそやる」
posted2020/05/08 07:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Itaru Chiba
Vリーグもシーズンが中盤に差しかかった2020年1月、その数カ月前に圧巻のプレーで日本を沸かせた彼を訪ね、愛知県へ向かった。数日後に20歳の誕生日を迎えるという青年の表情からは充実している様子がうかがえた。
昨秋行われたバレーボールのワールドカップ(W杯)で、バレーボール男子日本のチーム最年少・西田有志は強豪国を相手にも物怖じしない強気のプレーで世界を驚かせた。
特に印象深かったのがカナダ戦の最終セットのプレーだ。
9-9の状況から放った6本のサーブのうち、試合を決定づける5本の強烈なサービスエース。まさに圧巻の出来だった。
W杯ではベストサーバーとベストオポジットにも輝き、石川祐希らとともに28年ぶり4位に大きく貢献。そのプレーは客観的に見ても及第点以上の出来だった。西田自身もプレーヤーとしての成長を実感し、自信も手にしていたが、それ以上にメダルに届かなかったことが悔しくて仕方がなかったのだと振り返る。
「大きな成長の舞台」となったW杯
「自分の未熟さを感じた部分も多かったですね。その後、すべての面でレベルアップが必要だと思ってVリーグに臨んでいて、その中で自分の中でやりたいことができている手応えも掴みつつあります。ただ、一番苦しく険しい道を選んでそこを歩んでいかないといい結果は導けないと思っているので、苦しくても、そこを乗り越えることでプレーヤーとしても、そして人間としても成長できる。それは、W杯を経験して痛感したところです」
それでもこのW杯は自身のバレー人生にとって、間違いなく大きなターニングポイントになったという。
「やっぱりW杯は自分にとって大きな成長の舞台になったのかなと思います。大きな大会で結果を残したことで自信のつき方が変わったというか。それまで練習は積んでいるけど自信がなくて、あまりいいプレーが出せないことが多々あったんです。でも、W杯ではそれを試合で発揮することができたので。プレーヤーとしての成長を肌で感じることができました」