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西田有志、充実の先にある可能性。
「自分が求めているからこそやる」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byItaru Chiba
posted2020/05/08 07:00
W杯での活躍、そしてVリーグの優勝と大きな注目を集めた西田。石川らとともに日本バレー界を牽引する存在に成長できるか。
レベルアップできれば楽しくなる。
代表でも所属チームでも、「勝ちたい」からこそ、どれだけストイックに取り組めるかを考えながら日々自分と向き合っている。
「バレーをやれていること自体がうれしいんです。それに、レベルアップできていることを肌で感じられれば、もっと楽しくなっていく。だから(ストイックであり続けることは)修行かもしれませんけど(笑)、苦ではないですね」
西田が今、見据えるのは、アスリートとしての成長はもちろん、日本男子バレー3大会ぶりの出場となる東京オリンピックでのメダルだ。それの実現に向け日々考えるのは「勝つチームになるためには何が必要なのか」ということばかりだ。
また、いずれは海外でプレーする。そんな青写真も描いている。186cmという身長は、バレーボール選手としては決して高いとは言えない。だからこそ、「海外でもこの身長で通じることを示したい」とその言葉にも熱が帯びる。
代表ではすでに海外でプレーしている石川や柳田将洋、古賀太一郎らから大きな刺激を受けている。
「一昨季までは祐希さんは冷静な人だなというイメージが強かったんですが、昨季は闘志むき出しにしてプレーしていて。祐希さんがあんなに叫ぶ姿を見たことがなかったので本当に驚きましたし、それを見て自分もさらにボルテージが上がりましたね。それに、自分も海外でプレーしたらどれほど変われるんだろうって」
25、26歳までにどれだけ成長できるか。
その落ち着いた口調に年齢を忘れてしまいそうになるが、まだ20歳。4年後、そして8年後のオリンピックも視野に入れる彼の可能性は無限に広がっている。
「まだまだ、これができるようになったとか、あれができるようになったということが増えてくると思うんです。25、26歳までにどれだけ成長できるか、そしてどれだけクオリティを高く維持していけるか。それを実現するためにも人一倍何かをしないといけない。苦しいけれども、当たり前のようにやっていかないと。もちろん、それを自分が求めているからこそやるんです。鍛錬ですね」
そう語る彼の目はきらきらと輝いていた。