バレーボールPRESSBACK NUMBER
石川、柳田、西田をトスで操る。
関田誠大が味わった「楽しい」時間。
posted2020/04/22 11:40
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Blazers sports club
東京都が発令した緊急事態宣言を受け、味の素ナショナルトレーニングセンターで行われていた代表合宿を4月6日をもって中止し、解散した全日本男子バレーボールチーム。昨年、主戦セッターとしてワールドカップ4位の立役者となった関田誠大も代表を離れ、今は自宅でトレーニングに励んでいる。
バレーボール界は通年、5月初めの黒鷲旗を最後に年度を終えて、3週間ほどの休暇に入るが、今年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、その休みを前倒しにし、自宅待機を決めたチームが多い。関田の所属する堺ブレイザーズも同じである。
「今はチームの体育館は全く使えないので、家で自体重を使ったトレーニングをしています。これまで、重りを使っていたトレーニングを自体重だけで行うので、どうしても限界はあります。こんなに長い期間、自宅にこもって練習するなんて、もちろん経験はないですね。正直、最初はどう過ごしていいかわからないところもありました」
チームのトレーナーから練習メニューを渡されたものの、マシンを使ったウェートトレーニングや2人以上でのボール練習は全くできない。
「ボールに触っていないといいイメージも忘れてしまうので、感触を忘れないために1人でトスをしたり……。気休めなんでしょうけど、とにかくボールは触っておかないといけないな、と思っています」
未曽有の出来事にも、考えられる限りの行動で立ち向かっている。
アタッカーを生かす頭脳的なトス。
関田は昨年、日本が史上最多の8勝を挙げたワールドカップで、全11試合中8試合にスターティングメンバーとして出場した。石川祐希、西田有志といったアタッカーを生かす、頭脳的なトスワークで、レギュラーの座をつかんだかに見えた。
オリンピックの延期がなければ、今頃は主戦セッターとして海外遠征や国内合宿で大舞台を目指していたころだろう。
1年間の延期が決まり、気持ちの整理はついたのだろうか。