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ファンペルシが土壇場で涼しい笑み。
マンUvs.マンC、芸術的だった喧嘩。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/05/01 19:00
シティ陣営の壁を見極めて、左足一閃。ファンペルシ渾身の一撃はユナイテッドに歓喜をもたらした。
ファンペルシの一撃と涼しい笑み。
91分、ラファエウがシティ・ペナルティボックスの5mほど手前でテベスに倒された。FK。角度は45度くらいだろうか。壁は4人。ファンペルシがボールをセットした。
彼の左足から放たれた一撃が、シティの壁をかすめながらファーポストのサイドネットに決まる。ディフレクトして角度が少し変わったのか、GKハートは一瞬、逆を突かれたかのようにも見えた。
ルーニーが駆け寄る。ファーガソン監督はガッツポーズを繰り返す。ファーディナンドがシティサポーターを煽り、ファンペルシは、涼しい笑みを浮かべていた。
シティとのダービーマッチは、1-6で敗れた2011-12シーズンの9節が頻繁にクローズアップされるが、ローカルダービーならではのギスギスしたムードは、2012-13シーズンの16節がはるかに上だ。
競り合いで肘が顔面に入ろうが、背後から露骨に蹴られようが、戦士の心は決して折れない。超一流の成せる業。
芸術的ともいうべき、見事な喧嘩だった。