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“スーペルピッポ”が指揮を執る、
ベネベントのセリエA復帰は幻か?
posted2020/05/02 11:40
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
フィリッポ・インザーギ監督が率いるベネベントの来季セリエA昇格が宙に浮いている。
今シーズン、2部セリエBで独走。優勝目前だったベネベントに新型コロナウイルスが立ちはだかった。
「優勝だけで満足したらダメだ。俺たちは記録を作る。歴史に名を残すんだ」
昇格は当然。貪欲なインザーギは優勝の先も目指していた。ところが……。ベネベント3季ぶりの1部復帰も、インザーギ監督3度目のセリエA挑戦も、幻に終わるのか。
イタリア・サッカー界は割れている。
セリエAのリーグ機構とFIGC(伊サッカー連盟)は、是が非でも5月下旬からカンピオナートを再開させたい。彼らは有識者や医学界の権威を招いてガイドラインを作り、政界に働きかけを続けるが、スポーツ省と保健省は拙速な再開に難色を示している。
今季プロリーグ戦の中止を決めたバスケットやバレーを初めとする他競技との兼ね合いも考慮するCONI(伊オリンピック委員会)との対立も顕著だ。
まるでリバプールのような独走ぶり。
上が決まらなければ、下も決まらない。セリエA同様、2部リーグであるセリエBも3月9日の第28節キエーボ対コセンツァ戦を最後に中断が続いている。
ただし、ベネベントはすでに優勝を手中にしたも同然だった。セリエA昇格は時間の問題だったといっていい。
第28節までに21の白星(21勝6分1敗)をあげ、積み上げた勝点は「69」。例年、セリエBからは2位以上のクラブにセリエAへの自動昇格が約束されているが、2位クロトーネ(勝点49)、3位フロジノーネ(勝点47)との差は歴然だ。
追う者に影すら踏ませない独走ぶりは、今季のプレミアリーグで2位マンチェスター・シティに25点差をつけているリバプールにも匹敵する。