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「浦和も大事な故郷になったから」
ポンテとレッズ、最強の相思相愛。
 

text by

島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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photograph byGetty Images

posted2020/04/09 11:30

「浦和も大事な故郷になったから」ポンテとレッズ、最強の相思相愛。<Number Web> photograph by Getty Images

2007年のJリーグMVPに輝くなど、「ロビー」ことポンテのプレーは浦和サポーターのハートをつかんだ。

長期離脱から復帰後のゴールと嗚咽。

 ロビーが加入してからの浦和はJリーグ、ACL、そして天皇杯を2度制した。その中心には常に彼がいて、ファン・サポーターに多くの喜びをもたらしてくれた。

 しかし歳月が過ぎ、彼自身も多くのケガに苛まれてベストコンディションを保てない中で、2010シーズン、ついに別れの時が来る。

 2010年11月14日、Jリーグ第30節・京都サンガ戦では長期離脱から復帰したロビーが途中出場からゴールを決め、試合後に勝利者インタビューを受けた。『ロビー・コール』がこだまするゴール裏サポーターの方向を見据えた彼は、ユニホームをたくし上げて嗚咽し、数秒間、言葉を発することができなかった。このとき、埼玉スタジアムの記者席に座ってロビーの言葉を待っていた僕は、自らの思い違いに気づいた。

 これまで僕は、ロビーが誰かのために喜びや愛を与えてばかりいたと思っていた。でも、ロビーが震える声で「全てのサポーターの後押しに、心から感謝します」と言ったとき、彼もまた、皆から温かで親身な無償の愛を与えられていたのだと悟り、その相思相愛の関係に、こみ上げる感情を抑えられなかった。

退団セレモニーとハートマークの10番。

 浦和からの退団が決まったリーグ最終節のセレモニーで、浦和サポーターはハートマークの中に背番号10のビジュアルサポートを掲げて別れを惜しんだ。浦和加入時に「新しい背番号10の姿をお見せする」と言ったロビーは、その輝かしい業績とともに惜別の涙を携えて僕らのもとを去っていった。

 普段は朗らかで愛嬌を振りまく好漢。サッカー以外のボール競技は下手。リクリエーション的に練習で取り入れられたバレーボールやバスケットボールでは運動音痴のような動きを見せてチームメイトからからかわれていた姿を思い出す。

 でも、サッカーボールを扱わせたら比類なき存在感を醸す傑出したフットボーラー。

『浦和歴代の最強外国人選手は誰?』と聞かれたら、僕は「外国人の括りなんていらないよ。僕の中で浦和最強の選手はロビー。それ以外は思いつかない」と答える。

 彼のハイレベルなプレーの数々をリアルタイムで目撃できた僕は、本当に幸せ者だと思っている。

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