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「浦和も大事な故郷になったから」
ポンテとレッズ、最強の相思相愛。
 

text by

島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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photograph byGetty Images

posted2020/04/09 11:30

「浦和も大事な故郷になったから」ポンテとレッズ、最強の相思相愛。<Number Web> photograph by Getty Images

2007年のJリーグMVPに輝くなど、「ロビー」ことポンテのプレーは浦和サポーターのハートをつかんだ。

「浦和も大事な故郷になったから」

 個々の契約条項の問題などで、Jリーグが終了し、天皇杯を残す時期に母国へ帰国する外国人選手がいる。

 しかしロビーは浦和に在籍した5年半の間に、ケガ以外でチームを離れたことがなかった。それには理由がある。8歳で母親、18歳で父親と死別した彼にとって当時、故郷であるブラジル・サンパウロには手を取り合って生活を共にした兄の家族しかいなかった。

「兄さん夫婦と僕の奥さんと、サンパウロでゆっくりと過ごすのはとても楽しみだよ。でも、今の僕にとっては、この浦和も大事な故郷になったからね」

 チームに忠誠を尽くす選手が好きだ。全身全霊を傾けて勝利に邁進し、勝てば歓喜し、負ければ悲嘆する。私情を挟まず、フォア・ザ・チームを貫く選手の姿を観ていると、自らの心も熱く燃え立つ。

ワシントンを諫め、あの決戦で。

 ロビーは同郷のFWワシントンが当時の監督の采配を公然と批判した際に、「チームの和を乱す行為は許されない」と言って仲間を諌めたことがある。

 チームスポーツで最も大切なのはコーチングスタッフ、選手、ファン・サポーターの立場にかかわらず、そのコミュニティが団結することにあると、彼は身を持って僕らに教えてくれた。

 2006シーズンの最終節、首位の浦和は勝点3差で追いすがるガンバ大阪と対戦し、相手FWマグノ・アウベスに先制点を奪われた。

 しかし、すぐさまロビーが同点ゴールを叩き込んだとき、当時チームキャプテンだった山田暢久は「これで大丈夫だ」と安堵したという。埼玉スタジアム全体が危機感に苛まれる中で、ロビーだけは己の心に一切の揺らぎがなかった。

【次ページ】 ACL制覇もロビーの貢献なくしては。

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