考えて、技術を突き詰めるタイプ。

　昨夏、T-岡田に履正社の恩師の言葉を伝えると、「ほんまですか。自分はそんなにパワーで打つほうじゃないんですけどね」と笑っていた。

　確かに、考えて、技術を突き詰めるタイプだ。プロ入り後は試行錯誤を重ね、5年目にノーステップ打法で本塁打王に輝いたが、その後も変化と改良を重ねた。

　しかし昨年は迷っていた。

「毎試合、1打席1打席、変えることも大事だし、続けることも大事なので、何を続けて、何を変えるのか、という線引きが難しいところなんです。一昨年までは、こうやっていく、というものをずっと続けていたんですけど、去年は、自分のバッティングというものを、見失うじゃないですけど、迷っていた部分はありました。二軍にいたら、結果を出して一軍に上がらないといけないし、一軍ではそれこそどんな形でも結果を残さないといけないので、結果を欲しがり過ぎて、何を続けて、何を変えるのかというのが自分の中でわからなくなっていました」

　自分の映像やメジャーリーガーの映像を見て、ああでもないこうでもないと試行錯誤し、練習ではうまくいっても、試合で同じようにできない、という繰り返しだった。

ベテランのウインターリーグ参加は異例。

　そんな時だったからこそ、ウィンターリーグへの参加を勧める話に乗った。32歳になろうとしていたベテランの参加は異例だが、「行ってよかったです」と晴れやかな表情で言う。

「たぶん僕がハタチ過ぎとか、20代中盤ぐらいだったら、ちょっと行くのを嫌がったかもしれない。でも、ここ何年かは海外の野球というものにちょっと興味を持っていたし、何より、去年は一軍でも二軍でもあまり試合に出られていなかったんで、試合でいろいろ試したいというのが一番の理由でした」

　行ってみると、想像していたものとは違った部分で収穫が大きかった。真面目で、考えすぎるところが時にマイナスに作用することもあったT-岡田が、遊び心や「形にとらわれ過ぎない」ことを意識するようになったことは大きい。

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