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Jに舞い戻ったタイ代表ティーラシン。
清水で2ケタ得点、西野さんとW杯。
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/03/21 11:40
開幕戦でいきなり結果を出したFWティーラシン。新生エスパルスの顔となれるか。
日本でプレーする選手が増えれば。
タイの至宝が、Jリーグ再参戦を決めたもう1つの大きな理由が、自分を育ててくれた母国タイのため、そしてタイ代表のためだ。
「何人かのタイの選手がすでにJリーグでプレーしている。そこに自分が参戦することで、Jリーグがタイでさらに人気が上がり、そこでプレーしたいと思う選手がさらに多くなる。結果的にさらに多くの選手が日本でプレーすれば、タイリーグもタイ代表も格段にレベルアップすると思う」
現在タイ代表を率いるのは、2018年ロシアW杯で日本代表をベスト16に導いた西野朗氏だ。タイ代表の中心選手でもあるティーラシンは「西野さんは、何のための練習なのかを納得させて取り組ませる。われわれ選手の話にも真剣に耳を傾けてくれる人。いま代表は確実に一つにまとまっているし、大きな可能性が出てきたと思う」と語気を強める。
2022年カタールW杯を目指すアジア2次予選G組で、タイは現在3位。今後の結果次第では最終予選進出の可能性もあり、「残り3試合はすべて勝てると思っている」と至宝はアジア最終予選進出に自信を覗かせた。
タイには伸びしろがある。W杯に出たい。
そうなると、最終予選では日本代表と戦う可能性がある。もちろんいまは日本代表との差はあるかもしれないが、近い将来世界の舞台を争うライバルになることだってあるだろう。だがティーラシンは「そうなればうれしいけど、まだ差は大きいから、しばらく追いつけないと思う。それは、タイの選手はJリーグを目指して日本に来るけど、日本の選手たちはみんなヨーロッパを目指すでしょ(笑)。だから、しばらくはライバルにはならない」とシビアに分析。
それでも「西野さんの指導のおかげでもあるけど、タイ代表は確実にレベルが上がっているし、まだ伸びる可能性も大きいと思う。日本に近づけたらうれしいし、やっぱりW杯には出たい」と、世界の舞台でのプレーにも静かな闘志を燃やした。