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青山敏弘らも認める広島の新8番。
「川辺駿は、こんなもんじゃない」
posted2020/03/19 11:30
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph by
J.LEAGUE
「まだ2試合ですが、彼が表現しているものには驚きません。これくらいやってくれる選手になったんだな、と」
サンフレッチェ広島の城福浩監督は称賛を惜しまない。それも納得のパフォーマンスを見せているのが、MF川辺駿だ。今季J1クラブが消化した公式戦は、ルヴァンカップのグループステージ第1節と、J1リーグ開幕戦。川辺は2試合ともフル出場して勝利に貢献している。
3-4-2-1の布陣で戦う広島において、ポジションはボランチの一角。周囲との連係でパスをつなぎ、激しいチャージに耐えてドリブルでボールを運び、チャンスとみればスペースに飛び出して、劣勢の時間帯は粘り強く守る。攻守両面に深くかかわる働きぶりは、正しい方向に向けてチームの舵を取るボランチにふさわしい。
「もちろんミスもありますが、その中でも自分のプレーができています。日本人選手だけでなく、ブラジル人選手からの信頼も感じ取れている」という本人の手応えに同意するのは、FWドウグラス・ヴィエイラ。「ハヤオとは分かり合えている」という加入2年目のブラジル人アタッカーは、「鹿島戦のレアンドロ・ペレイラのゴールは、まさにそう。自分が右サイドに流れたとき、ハヤオがニアサイドに走り込んできて、そこにパスを出した。分かり合えていたことが結果につながった」と振り返った。
「得点シーンに顔を出せるのは持ち味」
鹿島アントラーズとのJ1リーグ開幕戦、1-0で迎えた25分のL・ペレイラのゴールは、川辺の素晴らしい動きから生まれた。
GK大迫敬介からのロングパスをMF森島司がハーフウェーラインの少し手前で受けたとき、川辺がいた位置は森島の10m以上後ろ。だが森島が前を向き、D・ヴィエイラが右に流れた次の瞬間、猛然とダッシュした。
そのまま一気に中央を走り抜けると、D・ヴィエイラのセンタリングをゴールエリア内で触り、ファーサイドに流れたボールをL・ペレイラが押し込んだ。70m以上のロングスプリントで得点に絡んだ動きを、川辺は試合後に「スペースが空いていた。(ゴールの)匂いをかぎ分けて、得点シーンに顔を出せるのは自分の持ち味」と自画自賛した。