スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
損害708億円、バルサ棚ぼた3連覇?
コロナでリーガ終了なら混乱必至。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/03/16 19:00
サグラダファミリア近くのサッカーショップ。普段は世界遺産や美食、バルサ観戦をセットで楽しむ観光客で大賑わいなのだが……。
バスク決戦の国王杯決勝も延期に。
こうした状況下、フットボール界も慌ただしく動いた。
3月10日。ラ・リーガは政府の要請を受け、最低でも2週間はリーグ戦を無観客で実施すると発表。同日には18日に予定されていたCLバルセロナ対ナポリの無観客開催も決まった。
同11日。スペインフットボール協会(RFEF)がセグンダB(3部)以下アマチュアの全カテゴリーのリーグ戦中断を決定する。
同12日。レアル・マドリーのバスケットボールチームの選手に感染者が出たため、サッカーチームを含めたクラブ関係者が外出自粛の対象となる。これを受け、ラ・リーガはプリメラ(1部)、セグンダA(2部)のリーグ戦を最低でも2週間延期すると発表する。
同日には、史上初めてアスレティック・ビルバオとレアル・ソシエダのバスクダービーが実現するはずだった4月18日のコパデルレイ決勝も延期が決まった。
同13日、バルサなど複数のクラブがトップチームを含む全活動を停止すると発表。選手たちは各々の自宅で個人トレーニングを行うことに。同日にはUEFAもCL、EL全試合の延期を決定する。
これでスペインフットボール界はほぼ完全に活動停止状態に入った。
もしシーズン終了なら厄介な問題が。
首相の言葉にもあった通り、現実的に考えて2週間後の再開は難しいと言わざるを得ない。むしろこのままシーズン終了を余儀なくされる可能性もあるだろう。そうなれば、ラ・リーガが被る損害額は6億ユーロ(約708億円)にも上るという。
しかもそうなった場合、今季のタイトルや昇格・降格クラブ、来季のCL・EL出場クラブをどう決めるのかという厄介な問題も生じる。
ドイツでは中断前の成績を最終順位として、1部からの降格はなし、2部からは現時点の上位4チームを昇格させ、来季の1部を22チームで行う案を検討しているという。
このやり方をスペインに当てはめた場合、今季のタイトルはバルサの手に渡ることになる。2位のレアル・マドリーは2節前のクラシコを制したにもかかわらず、結果的に最終節となってしまうベティス戦の黒星で全てを台無しにしたと叩かれることだろう。