スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
損害708億円、バルサ棚ぼた3連覇?
コロナでリーガ終了なら混乱必至。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/03/16 19:00
サグラダファミリア近くのサッカーショップ。普段は世界遺産や美食、バルサ観戦をセットで楽しむ観光客で大賑わいなのだが……。
久保、香川、岡崎のクラブは……。
CL出場権を得るのは現在3位のセビージャと4位のレアル・ソシエダ。7季ぶりの快挙となる後者は、不慮の事故で3月10日に延期された敵地のエイバル戦が新型コロナの影響により無観客で開催された。今のところラ・リーガでは唯一、無観客で行われたこの試合の勝利がCLへの切符をもたらすことになる。
2枠のEL出場権を得るのは、今季のELでも16強に勝ち進んでいる5位のヘタフェと、7季連続でCLに出場している6位のアトレティコ・マドリーだ。昨季王者リバプールを敵地で破ったばかりのアトレティコとしては、不本意な形で来季の大幅な予算削減を強いられることになってしまう。
プリメラ昇格の恩恵を受けるのは現在セグンダA首位のカディスと2位のサラゴサ(香川真司が所属)。3位以下のアルメリア、ウエスカ(岡崎慎司が所属)などは昇格プレーオフを戦うチャンスすら奪われてしまう一方、プリメーラで降格圏に沈むマジョルカ(久保建英が所属)、レガネス、エスパニョールにとっては願っても無い助け船となる。
このような事態に陥ってしまった以上、ラ・リーガがどのような決断を下すにせよ、何らかの痛みを伴うことは避けられないだろう。
14日夜に沸き起こった拍手と歓声。
3月14日22時。スペイン中の建物の窓やベランダから、一斉に拍手と歓声が湧き上がった。
1分間も続いたその光景は、24時間体制でウイルスと戦い続けている医療関係者を称えるべく、同日昼にSNS上で広まった呼びかけへの反応だった。
この国の人々は、そんな素敵なことを思いつき、すぐ行動を起こすことができるのだ。
その反面、どれだけ注意喚起しても食料品の買い占めでスーパーに行列を作り、外出自粛の令を無視してどんちゃん騒ぎのホームパーティーに明け暮れるのだから困ったものだ。
この調子では、まだまだウイルスの拡散は続くのだろう。しばらくは自宅でのんびり過ごすことになりそうだ。