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YouTubeチャンネルから“革命”を。
Bリーグ川崎が抱く大いなる野望。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKAWASAKI BRAVE THUNDERS
posted2020/03/16 08:00
「【ガチの神回】プロバスケ選手はどれくらい後ろからシュートが決まるのか検証した結果…」と題された動画のワンシーン。
選手の人柄とキャラクターと仲の良さ。
社長室の室長とチケット・ファンクラブ部の部長を兼務する藤掛直人というスタッフがいる。2018年の夏に東芝からDeNAへと実質的な親会社が移管するタイミングで川崎にやってきた彼は、このYouTubeプロジェクトの中心人物だ。「ちゃんもも」をプロデューサーとして招き入れた藤掛は、こう語る。
「今の平均動員数はありがたいことにアリーナのキャパシティーのほぼ上限に近づいているという状態ですが、1万人規模のアリーナができたときには、今の5000人の来場者だけでは会場がスカスカになってしまいます。だからこそ、今から“アリーナの外”でお客さまの数を増やしたり、興味をさらに深めたりという施策を打たないといけません。その結果、Youtubeが大切だと考えた感じですね」
「ちゃんもも」は、「能ある鷹は爪を隠す」という言葉を地で行くかのようにYouTubeに関する自身の知見については謙遜しつつも、こう胸を張る。
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「1年もたたずに視聴者数が伸びている理由はやはり、選手の人柄とキャラクターと仲の良さがあるからです。今ではみなさん撮影をどんどん楽しんでくれるようになっていますしね」
1人ひとりが、どれだけのファンを獲得できるか。
「じーつー」も、こう話している。
「僕らがバスケットをしている以外の表情をファンのみなさんにはなかなか、見せることができませんでした。でも、今は、普段の素の一面に近いようなところを見せられる。あと、僕の個人的な意見としては、あとで動画を見直したときに、僕“も”楽しめるんです。それがすごく良くて(笑)」
川崎の選手たちは、朝、昼、晩と寮で食事を摂る。管理栄養士の指導の下で食事もトレーニングの一環と考えているからだ。そんな全ての選手が必ず顔を出す寮に、これからは“あるもの”を設置しようと、「ちゃんもも」は考えている。それが、YouTubeチャンネルの発展につながるだろうという確信とともに。
「ここまで想定通りに進んでいるので、次の目標は10万人です。登録者数が10万人に到達するとYouTubeからは銀の盾が、100万人で金の盾が贈られるのですが、そのタイミングで何をするのかも考えています(笑)。
あとは、今の時代は1人ひとりが、どれだけのファンを獲得できるかを問われるので。このチャンネルを通して、各選手がファンを獲得して、いつかブレイブサンダースの選手ではなくなる日が来ても、そういうファンの方が支えてくれる状況を作りたいです」