NBAの扉を開けBACK NUMBER
いよいよ開幕、今季のNBAは熱くなる
text by
小尾慶一Keiichi Obi
photograph byNBAE/gettyimages/AFLO
posted2006/10/31 00:00
「今季はどこが優勝するだろうね」
開幕を直前に控えたこの時期、NBA関係の編集者や記者と会うと、必ずそういう話になる。新シーズンについてあれこれ考える楽しい季節なわけだが、過去数年は、この話題であまり盛り上がれなかった。今年もスパーズやピストンズが優勝するのでは、という諦念にも似た感覚があったせいだ(もちろん、両チームとも嫌いではない。強すぎて予想する楽しみが少なかった、という意味)。
だが、今年は少し事情が違うようである。力が拮抗していることや、夏に行われた世界選手権の影響などで、優勝候補の本命が絞り込めない状況なのだ。先の読めない楽しみが加わり、今季はよりエキサイティングな展開が期待できる。
では、優勝に近いチームを中心に、注目チームをいくつか挙げてみよう。
まず、昨季の王者であるヒート。ファイナルMVPのウェイド、最強センターのオニールはもちろん、優勝メンバーのほぼ全員がチームに残留。イーストを制して、2季連続でファイナルに進出する可能性は高い。不安要素は、34歳のオニールに故障が多いこと。エースのウェイドも、アメリカ代表として世界選手権でプレーしたため、ケガや疲労を回復できずに開幕を迎える。また、悲願の優勝リングを手に入れた面々──特に、モーニングやペイトンといったベテラン──が、昨季と同レベルの闘志を保てるかどうか。プレーオフにたどり着く前に、チーム全体が燃え尽きてしまう恐れもある。
ウェストは、大混戦となるだろう。昨季ファイナルで敗れたマーベリックスは、ほぼ変わらぬ顔ぶれでチャンピオンを目指す。心配なのは、世界選手権にドイツ代表として出場したノヴィツキー。ノヴィツキーは世界屈指の得点力を持つビッグマンであり、彼抜きではオフェンスが成り立たない。ノヴィツキーの控えを務めるのが新加入選手であることを考えても、例年以上の活躍が望まれる。そのノヴィツキーがプレシーズンゲームで元気なところを見せたのは、良いニュースと言っていいだろう。疲労を理由に欠場を続けていたが、19日のバックス戦に登場。22分の出場時間で、8点・9リバウンドをあげた。
サンズを優勝候補の本命に挙げる声もある。得点源のスタッダマイアーを故障で欠きながら、昨季は54勝をあげてカンファレンス決勝に進出。シーズンMVPのナッシュ、運動能力抜群のマリオン、5つのポジションをこなすオールラウンダーのディーオウ、守備と3ポイントに定評のあるベルなど、優勝を狙う戦力はそろっている。スタッダマイアーが完全復活を遂げた今季は、得意のアップテンポなスタイルでリーグを制覇するチャンスだ。