バスケットボールPRESSBACK NUMBER
YouTubeチャンネルから“革命”を。
Bリーグ川崎が抱く大いなる野望。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKAWASAKI BRAVE THUNDERS
posted2020/03/16 08:00
「【ガチの神回】プロバスケ選手はどれくらい後ろからシュートが決まるのか検証した結果…」と題された動画のワンシーン。
にわかファンからコアファンへ移行。
このシリーズの狙いはハッキリしている。
・既存のファンに満足してもらう。
・にわかファンからコアファンへ移行するきっかけにしてもらう。
1と2の全ての動画の撮影を担当するカメラマンの「もと」には、大切にしていることがある。
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撮影が終わった直後には、誰でも出演者に謝辞を述べる。それは「もと」にとっても同じこと。ただ、彼は動画がアップロードされた後、必ず、出演した選手にもう一度お礼を伝えることにしている。儀礼的と言われようとも、感謝を形や態度で表わしたいからだ。
今年1月、天皇杯の決勝戦で敗れるまでをまとめたOVER TIMEの第3話の前編と後編がアップされたあとの挨拶の際、チームの中心として活躍する辻直人にこう声をかけられた。
「あの動画をみて、やっと……。(リーグ優勝という次の目標に気持ちを切り替えて)前を向けるようになりましたわ」
真面目なドキュメンタリー動画があるからこそ、YouTube上で人気を集める「選手たちがふざけている」動画を、スタッフは、忖度や自主規制をせずに制作できる。
出演する選手も、不毛な反対意見などに気を取られずにカメラの前に立てる。
タイトルの「秘密」とは?
YouTubeで人気を博す動画の制作指揮を任されている「ちゃんもも」は、視聴してもらうための工夫の一部を以下のように明かしている。
工夫その1:タイトル名にこだわる。
「プロバスケ選手がゲーセンにあるシュートゲームに本気で挑戦した結果…」
「【検証】プロならどんなボールでも3Pシュート決まるんじゃね??」
「【罰ゲームあり】プロバスケ選手のノックアウト最強戦!!!!!」
川崎のチャンネルには上記のようなタイトルをつけられた動画が並んでいる。そのタイトルには秘密がある。
「川崎の選手の価値とは全く別の次元の話なのですが、世の中的には選手の名前はまだ、ほとんど知られていないんです。
だから、基本的には選手の名前をタイトルには載せていません。広く名前が知られていない選手名を入れれば視聴者層を狭めてしまうからです。逆に、『プロバスケ選手』としていることで、パイを広げたいなと」