球体とリズムBACK NUMBER
無双リバプールに不具合発生?
南野拓実は“停滞”を払拭できるか。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2020/03/04 20:30
リバプール移籍後、初のフル出場となったFA杯チェルシー戦。前線でチャンスに絡むも、目に見える結果を残せなかった。
シュートに持ち込めない南野。
対するリバプールは20分、南野がボックス内で同点の好機を迎えたが、トラップからシュートまで持ち込めなかった。またここまでのFAカップで活躍してきたアカデミー卒の10代、MFカーティス・ジョーンズと右SBネコ・ウィリアムズとの呼吸は、相変わらず合っていない印象だ。
下部組織あがりのティーンエイジャーでもっとも輝いていたのは、チェルシーのへその位置で堂々たる球捌きを披露した18歳のMFビリー・ギルモアだ。エンゴロ・カンテの負傷を受けて、チャンスを手にしたスコットランド出身の小柄なセントラルMFは、年齢にそぐわぬ落ち着いた所作で中盤のポゼッションを円滑にし、小さい体で守備にも奔走。
64分にロス・バークリーが逆襲から独走し、凄まじい一撃でチェルシーの追加点を奪った後の終盤には、ギルモアがきらめくプレーで魅せた。中盤でスクエアのパスを出すと見せかけて、百戦錬磨のファビーニョを出し抜くと、オリビエ・ジルーに絶妙なスルーパスを通している。
看板3トップと共演するも……。
リバプールは終盤にロベルト・フィルミーノ、ジェイムズ・ミルナー、モハメド・サラーを投入し、看板の3トップの下に南野を置く布陣で反撃に出たが、スコアはそこから動かず、0-2で敗れた。
これを含め、リバプールは全公式戦を通じてここ4試合で1勝3敗。そのうち3度、複数失点を喫し、同じく3度、無得点に終わっている。1週間後に控えるアトレティコとのチャンピオンズリーグ・ラウンド16第2戦を前に、不安が広がっている。
「長い間、我々に勢いをもたらしていたのは、うちの見事なディフェンスにあった」とクロップ監督は試合後に語った。
「これまではほとんど相手にチャンスを与えなかったが、ここ4試合では実に多すぎる失点を喫している」