先輩・東から託された1年。

　理解のある先輩たちに囲まれローテーション獲得に一歩一歩進んでいる坂本であるが、自身がピッチャーをする上で決して忘れることができない人物がいる。それが立命館大学の2つ上の先輩である2018年新人王の東克樹だ。

「東さんがプロになって活躍したことで、自分も絶対にプロに行くんだと強く思ったんです。今までの野球人生で一番大きな存在。まだ雲の上の人だけど、いつかは追い越したい」

　偶然にも、そんな多大な影響を与えてくれた先輩と同じDeNAに入団することができた。しかしながらご存知のように、東は左肘の負傷により2月20日にトミージョン手術を受けている。復帰は来季となる見通しだ。

　手術のため東がキャンプ地を離れる前、顔を合わせた坂本は、敬愛する先輩からある言葉を託された。それが冒頭の一言である。俺は今シーズン投げられない。だから、お前に任せたぞ。

「本当にあの言葉は響きました……。東先輩の分まで頑張るなんてまだ言える立場ではないけれど、ルーキーとか関係なく、しっかりとチームの戦力になれるように。そして来年は東先輩と一緒にローテーションをまわりたいですね」

　石田、今永、濵口、東の“左腕四兄弟”ならぬ、坂本を加えた“左腕五兄弟”。その末っ子は東の想いを背負い、誰にも負けない向上心とビッグハートでルーキーイヤーへと挑む。