炎の一筆入魂BACK NUMBER
ドラ1森下暢仁は本当に「良い」?
カープのエース大瀬良の答えは……。
posted2020/03/03 19:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
記者の習性だろうか、「良い」という評判を聞くと、悪いところを探そうとしてしまう。ただ、今のところ、広島のドラフト1位森下暢仁の欠点を見つけられていない。
ゆったりと左足を上げるシンプルなフォームには無駄がなく、一連の動作の中でも軸や顔の位置がぶれない。走る姿には躍動感もあり、運動能力の高さを感じさせる。投手でありながら「打撃が好き」と打撃練習にも精力的で、バントも得意という。まさに万能型。どんな競技をやらせてもある程度のレベルに達していただろう“持っている”感を漂わせている。
甘いマスクでカープ女子に人気が出そう。取材の受け答えも丁寧。口数は多くないものの、そこには照れや迷いではなく、自分の意志や考えとは違った言葉を紡ぎたくないという強い思いを感じる。穏やかそうに見えて、芯がしっかりしている――。頼もしい黄金新人である。
ここまで順調に調整を進めており、アクシデントがない限り開幕ローテーション入りするだろう。
序盤こそ、未知の力が生きる?
即戦力の期待が高い右腕に、首脳陣も抑えながら調整させてきた印象が強い。実戦登板までのブルペン入りの回数などは首脳陣が指示。右も左も分からない中で気疲れや余計な力が入ることがあるだけに、あまり負荷をかけてこなかった。
当然、森下自身の意識もあった。並の新人であればアピールしようと力が入るものだが「ケガをしないように気をつけたい」と周囲の目など気にせず、地に足をつけて調整の歩を進めた。
即戦力投手を開幕ローテーションに入れるメリットはある。新戦力のデータが最も少ないシーズン序盤こそ、未知の力が生きる。過去10年の広島新人先発が5月までに得た白星は以下の通り。
<2017年>
加藤(矢崎)拓也 1勝
床田寛樹 1勝
<2016年>
横山弘樹 2勝
<2014年>
大瀬良大地 5勝
九里亜蓮 2勝
<2012年>
野村祐輔 4勝
<2011年>
福井優也 2勝