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DeNA左腕兄弟の“末っ子”坂本裕哉。
今永昇太に学び、東克樹に託され。 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

PROFILE

photograph byAsami Enomoto

posted2020/03/01 11:40

DeNA左腕兄弟の“末っ子”坂本裕哉。今永昇太に学び、東克樹に託され。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

坂本は1997年7月28日、福岡県生まれ。福岡大大濠高、立命館大を経てドラフト2位でDeNA入団した。

すごい人に出会ったような気がする。

 一軍キャンプには石田健大をはじめ今永昇太、濵口遥大ら実績のある同じサウスポーの先輩たちがおり、坂本は大いに刺激を受けたという。とくに行動をともしていたのは、同じ福岡県出身の今永昇太だ。

「毎日、今永さんの部屋に行ってゲームをやったり、一緒に食事や買い物にも行きました。本当いろんな話をさせてもらっています」

 リーグを代表するサウスポーである今永のピッチングはもちろん、その所作振る舞いや豊富な語彙は、坂本にプロとはいかなるものかを気づかせてくれた。

「とにかく自分を持っているというか、人間力がすごいんですよ。一緒にいてハッとさせられることが多くて、こういう人がプロ野球の世界でエースと呼ばれるんだなって。なにかすごい人に出会ったような気がします」

目指すは“真の本格派”。

 怜悧な表情で目を輝かせ語る坂本から感じられるのは貪欲さだ。幼いころから夢だったプロの世界に入り、ひとつでも多く吸収してやろうという気概に満ち溢れている。

 新人自主トレから坂本のフィジカル面を担当している四角純哉チーフ・アスレチック・トレーナーは次のように証言する。

「栄養面や自分の肉体を知るという部分で、非常に吸収、成長が早い選手ですね。課題だった股関節の固さも改善してきていますし、プロの体にシフトしていく上で学習能力が高い。食事への取り組みや体のケアなど、ひとりの時間を大切に黙々とやるタイプで、ルーキーとしては珍しいかもしれません」

 目下ピッチングの方もプロ仕様に改造中だ。例えば学生時代インステップ気味だった下半身の使い方を修正したり、持ち球であるチェンジアップを内側だけではなく、外側へも変化させることを試みている。

 MAX148キロのストレートに加えスライダー、チェンジアップ、カット、カーブと変化球は豊富。一見、技巧派に感じられるが、本人が目指している場所は違う。

「僕は先発として試合を作る能力とコントロールが武器だと思っているのですが、それだけではプロでは通用しません。目指すは“真の本格派”。力で勝負できるピッチャーになりたい」

【次ページ】 ラミレス監督の言葉で火が点いた。

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