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DeNA左腕兄弟の“末っ子”坂本裕哉。
今永昇太に学び、東克樹に託され。
posted2020/03/01 11:40
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Asami Enomoto
「この1年、おまえに託したぞ」
憧れの先輩から掛けられた言葉は、坂本裕哉の心の奥底にズンと響き渡った。ルーキーとして未開の地を歩もうとしている自分にとって、これ以上勇気を得ることのできる言葉はなかった。
「やるしかないですね」
坂本は感情を抑えるように、静かにそう言った――。
DeNAブルペンに馴染んだ坂本。
「おいおい、さかもっちゃん、どうした~!」
投手陣の守備練習でミスをすると先輩たちからユーモアを含んだ野次が飛び交う。今年、横浜DeNAベイスターズの一軍のキャンプ地・宜野湾でよく見かけた光景。ドラフト2位で入団した期待のサウスポーである坂本は、ルーキーとしてただひとり、一軍キャンプに最後まで帯同した。右も左もわからない環境でさぞ心細かったのではないかと問うと、坂本はとんでもないという表情をしてかぶりを振った。
「いや、めちゃくちゃ楽しくて、毎日充実した練習ができました。本当にいい球団に来ることができたなって。変な気疲れやストレスもなくキャンプを過ごせましたし、これもすべて話しやすい先輩方やスタッフの皆さんのおかげですね」
ブルペンの一体感では定評のあるDeNAだけに、坂本は仲間たちにすんなりと受け入れられた。また坂本も積極的にコミュニケーションをとれるタイプであり、キャンプで同室の2年目の上茶谷大河は「坂本は自分から先輩にいろいろ話しかけることができるので、そういったところは素直にすごいなって思いましたね」と教えてくれた。