巨人はホークスに勝てるチームになれるか？

――惨敗したという現実を受け止めるだけで十分だということですか？

「じゃあどうやって日本シリーズを戦う？　勝つのか？　負けるのか？　確かに日本シリーズの戦い方というのはあるかもしれない。

　でも、シーズン前から日本シリーズをどうだ、こうだと意識させる話をするのは、まったくナンセンスだと思っている。

　いまそんなことを考えていたら、必ず足元をすくわれる。あくまで日本シリーズというのは、ペナントレースを勝ち抜いたチームが、そこで短期決戦をやるものなんです。

　教訓として去年、惨敗したということは、今年の活力やエネルギーには変わる。でも、そのためにどうするとかいうのはいまではない。それでいいと思います」

――それで巨人はホークスに勝てるチームになれますか？

「確かにホークスは日本シリーズで強かったですよ。でもペナントレースを勝っていないチームなんです。それが短期決戦で勝っているということは、ペナントレースとは違うものが日本シリーズにはあるんでしょう。

　しかし、やっぱり短期決戦を勝つことよりも、ペナントレースを勝つことの方が難しい。だからいまから日本シリーズを目標に置くと、足元が見えなくなる。灯台下暗しということですよ。

　まずペナントレースを勝ち切ること。そこにしっかりと軸足を置いて戦っていくことしか目標はないですね」

――ペナントレースを勝ち切れるチームを作れば、必ず日本一への道も開ける、と。

「ただし日本シリーズで我々は惨敗したチームだよ、という現実は選手にもスタッフにも伝えておく必要はある。そのことを心に刻むことは、必ずペナントレースからいざ日本シリーズを戦うときになったらエネルギーになるはずです。

　だから僕はあえて『惨敗』という言葉は伝えました、2月1日にね。あえて伝えた。

　そうして必ずそのときになったら、僕の言葉がチームを躍動させるエネルギーになるはずです。それまではソフトバンクがどうのこうのというのは確かにあるけど、そこには重きを置かない方がいい。いまの目的はそこではないということです」

#1から読む

巨人・原辰徳監督インタビュー(上)「“2番・坂本”を今年は投手でやる」