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なぜマンCは2年間CL参戦禁止に?
現地発“バレンタインの惨劇”真相。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2020/02/17 12:00

なぜマンCは2年間CL参戦禁止に?現地発“バレンタインの惨劇”真相。<Number Web> photograph by Getty Images

グアルディオラ監督のもとで王朝を築き上げたマンチェスター・シティ。しかしFFP規則によって、その時代が終わりを告げてしまうのか。

デブライネら全盛期の主力は……。

 攻撃の中枢であるケビン・デブライネは、まさに脂の乗っている28歳。同じく攻撃の要人であるラヒーム・スターリング、ベルナルド・シウバ、守備の要のアイメリク・ラポルテも今年26歳と、ピーク年齢に差し掛かる。

 CASへの提訴により、最終的には参戦禁止は1シーズンとなる公算が大きいが、CL出場を許されない時期が最盛期と重なれば、彼らがシティでのキャリアを再考しても無理はない。

 その点グアルディオラは、進退を考えるにしても、来季末の契約満了を待つかどうかという程度にとどまる。昨年あたりから「このクラブを去る時が来たら」と口にする機会が増えた指揮官は、そもそも来季がシティでの最終シーズンと見られていた。

 CLのない来季を覚悟して残留すれば美談だが、今季終了をもって、噂のあるユベントスなどに去ったとしても責められはしない。CL参戦を禁じられる原因となったFFP違反は、自身がシティで指揮を執る前の出来事なのだ。

 UEFAが調査に乗り出した昨季途中から「万が一、処分が下されれば、それに従うまでだ」というスタンスの指揮官が、シティで欧州制覇を狙うラストチャンスに全身全霊を傾けることは想像に難くない。

プレミア3連覇が遠のく中で。

 幸か不幸か、プレミア3連覇は、3月中にリバプールの優勝が決まりそうな展開の中で現実味を失っている。

 今回の処分を告げられる前は「プライドを賭けて2位フィニッシュを目指す」と言っていたが、CLに出場できない2位となれば、その「意地」も含めて今季CLでの優勝にすべてを注ごうとしても不思議ではない。「(レアル・)マドリーとの16強対決は、どう戦うか、どうやって相手を倒すかを考える準備段階からして楽しみだ」とも語っていたが、今では「何が何でも勝ち進む」と決意を固めているだろう。

 CL決勝は5月30日にトルコのイスタンブールで行なわれる。クラブ史上初のCL決勝進出を果たしたとすれば、キックオフ前のCLテーマソングを自軍ファンがブーイングでかき消すであろう。

 その一戦を勝者として終えれば、クラブが「不当」な判断を下したと認識しているUEFAに対する最高の返答となる。

【次ページ】 クロップも称賛する実力だけに。

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