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内藤哲也vs.KENTA「最後の2冠戦」。
王者の防衛計画と失敗した男の企み。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2020/01/28 20:00
2冠のベルト奪取という偉業を成し遂げた内藤哲也。だが、本人の意図に関係なく、タイトルマッチは組まれていく……。
「失敗した男」か「成功できなかった男」。
話題のKENTAは昨年6月に柴田勝頼の友人として新日本プロレスにやって来た。そして夏のG1クライマックスでは飯伏や棚橋弘至には勝利したものの、満足のいく成績は残せなかった。だが、その優勝決定戦となる最終日に柴田を裏切り、蹴り倒して、バレットクラブ入りを果たした。
そんな男だが急速に上を狙うかと思えば、NEVER王座に甘んじ、そのタイトルも後藤に奪われてしまった。だが、KENTAはその負の成績を何するものぞ、と1.5東京ドームで2冠王になった直後の内藤を襲撃してKOしたのだった。
アメリカでのKENTA=ヒデオ・イタミの評価は「失敗した男」あるいは「成功できなかった男」であって、この過去はたとえケガが理由でも否定しようがない。
KENTAは自分の再生の道を新日本プロレスのバレットクラブの中で模索していた。今回、内藤をターゲットにした男は、4月のレッスルマニア・ウィークにフロリダのレイクランドで開催されるROHのビッグマッチ「Super Card of Honor」に参戦が決定している。これはKENTAがアメリカを忘れたわけじゃないという強い意思表示だろう。
「買ったらすぐカバンの奥にしまいなさい」
KENTAはツイッターが炎上するほどの嫌われ者になった。最近、KENTAは自分自身の「go2sleep」グッズの購入希望者にこんなメッセージを送っている。
「俺に対して風当たりが強い今、これを買う猛者に言っておこう。周りからどんな目で見られても自己責任だぞ。これを掲げるなんて命がけの事はするな。買ったらすぐカバンの奥にしまいなさい。掲げたりするなよ! 掲げるな!」
そんなKENTAを内藤はこう評価する。
「体は小さいですけれどね、力強さがあるし、キックの威力も強い。こうして今、新日本プロレスのヘビー級の枠に入ろうとしている。それだけ自分に自信があるからこそ来ているんでしょうね。
まだなんとも言えないですが、今のところの印象は、SNSの使い方が上手なレスラー。
海外で目標達成できずに帰ってきたレスラー。
某団体の元トップレスラー。
そんな印象ですかね。
いや、でもバカにしているわけじゃないですよ。これからゆっくり味わいたいなって思いますよ。世界を渡り歩いた男の経験をね」