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タイ1部監督・石井正忠に聞く、前編。
日本人指導者への期待と現地事情。
 

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byNorio Rokukawa

posted2020/01/27 11:30

タイ1部監督・石井正忠に聞く、前編。日本人指導者への期待と現地事情。<Number Web> photograph by Norio Rokukawa

タイのサムットプラーカーン・シティで指導する石井正忠監督。日本から飛び出し、新たなミッションに挑んでいる。

2017年、鹿島のタイ遠征での縁。

――では、ひとりでバンコクにお住まいなんですね。生活面で苦労はないですか?

「ないですね。近くにショッピングモールがあって買い物もすぐできますし、ここからバンコクまで車で30分くらい。運転手を付けてもらっているので問題ないです。強いて言うなら、言葉の問題。せめて英語くらいは勉強しておけばよかったなと(笑)。今さら言ってもしょうがないですけど、英語とタイ語を少しずつ勉強しながら、選手とコミュニケーションを取っていこうと思っています」

――12月の半ばから指導されていたというのは、始動がずいぶん早いですね。新シーズンの開幕は2月半ばですよね?

「10月いっぱいでシーズンが終わって、11月から12月に掛けてがオフなのかな。それで12月16日からスタートしたんですけど、契約の関係で最初2日間は加藤くん(光男/サムットプラーカーン・シティコーチ)に見てもらって、私は18日にタイに来たんです。それから26日まで指導して、いったん帰国して、1月1日に再びタイに来ました。5日にはU-23日本代表との練習試合が組まれていましたから」

――先ほど、オーナーの方は、石井さん個人に興味を持ってくれていたと。それは、クラブ・ワールドカップで鹿島アントラーズを準優勝に導いた経歴などに興味を持ってくれたのでしょうか?

「それもあると思うんですけど、私が聞いたのは、2017年に鹿島がタイ遠征をして2試合やったとき、ここの練習場を使わせてもらったそうなんです。予定していたグラウンドの状態が悪くて急きょ変更になって、別の場所を使わせてもらったことは覚えているんですけど、それがどこかは覚えてなかった。そうしたら、ここだと。で、オーナーがそのときのことを覚えていてくれて。それ以降、興味があって私の動向を追ってくれていたそうなんです」

「ゆったり」した雰囲気への理解。

――4年前からの縁だったんですね。石井さん自身は、タイのサッカーシーンについて、事前にどなたかに聞かれたんですか?

「加藤くんがタイに長くいるので、彼に聞いたり、(順天堂)大学の先輩で今、(ツエーゲン)金沢の強化アカデミー本部長をされている和田さん(昌裕/チョンブリやヴィッセル神戸などの元監督)が以前、タイで監督をしていたので電話をして。文化が違うから、契約などで面倒なこともあるし、そっちに気持ちを持っていかれてしまうと辛いことになるけど、そういうのを含めて理解したうえで行くんだったら問題ないよ、と話してくれたので、それなら、と」

――今日の練習を見ていても、ちょっとダラダラした感じがありました。

「確かに少し緩いところはありますよね。ゆったりしているというか。ただ、タイは暑いので、そうなるのも仕方がないのかな、ということも理解してきました。一方で、ボールの奪い合いになると、かなりのテンションでやってくれる。それこそケガが心配になるくらい激しいので、むしろ大事なのはスイッチの入れさせ方かなと」

【次ページ】 日本人の考え方に好感、との声。

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