Jをめぐる冒険BACK NUMBER
タイ1部監督・石井正忠に聞く、前編。
日本人指導者への期待と現地事情。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byNorio Rokukawa
posted2020/01/27 11:30
タイのサムットプラーカーン・シティで指導する石井正忠監督。日本から飛び出し、新たなミッションに挑んでいる。
ペドロ・ジュニオール、小野悠斗を。
――上位を目指すうえで、元FC岐阜の小野悠斗選手、さらにかつて鹿島で一緒に仕事をしたペドロ・ジュニオール選手を獲得しましたね。
「もちろん、彼らの能力がチームにプラスになるのは間違いないです。私の考えていることを伝えやすいし、それをチームメイトにも伝えてくれると思うんです。そういう役割も、彼らには期待しています。とにかく彼らには、このチームを引っ張っていくという気持ちでプレーしてもらいたい。特にペドロは経験豊富ですからね」
――今、日本人、ブラジル人、そしてセルビア人選手がいますが、外国籍選手はもうひとり獲れますよね? ご予定は?
「そこは予算と相談しながらですけど、日本人をもうひとり獲得できればと。ディフェンスの選手を獲れたらいいなと思っているところです」
給食センター職員に応募した理由。
――ところで、大宮アルディージャの監督を退任されてからの1年、鹿嶋市の給食センターで働かれていたそうですね。少し前にクラブ・ワールドカップの舞台に立った指揮官が給食センターで働くというのはピンと来ませんが、どういった経緯で?
「現役を引退してすぐ指導者になったので、これまで家族との時間が取れなかったんです。娘も中学生になったら、自然と離れていくじゃないですか。部活が始まったり、友だちも増えたりするので。その前に一度、家族との時間をゆっくり作りたいな、と思っていて。そんなときに、新聞のチラシで給食センターの職員を募集していたんです。
土日は休みだし、夏休みもしっかり取れるので、これはいいなと。それに、自分の中で、鹿嶋の子どもたちが運動する場所を作りたいという思いもあって。そういう活動に取り組むにも、長い休みがあったほうがいい。まだ実現してないんですけど、これから先の人生を考える意味でも、休みがしっかりあるのはいいかなと」
――それで応募したわけですね。
「履歴書を出して、面接も受けました」
――職歴の欄には鹿島アントラーズ選手とか、監督とか。
「はい。書きました。驚いていましたね(笑)」
(給食センター勤務で学んだこと、鹿島への思いとは? 後編に続く)