炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープ投手陣再建は横一線から。
中崎、一岡、今村が胸に秘める思い。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byNanae Suzuki
posted2020/01/12 11:40
一岡竜司は2017年、'18年と59試合に登板したが、'19年は33試合に留まった。
一岡が発した「後ろの方で」。
中崎だけではない。ともに中継ぎとして3連覇に貢献した一岡竜司と今村猛もまた、捲土重来を期す。3投手で一昨年から昨年、計74試合登板数を減らした。
2人にもまた勤続疲労による歪みが出た。
一岡は下半身のコンディション不良で7月に出場選手登録を抹消された。8月に1度復帰するも、1試合の登板で再降格となった。シーズンオフに入り、コンディション不良は完治。一度体重と体脂肪を絞り込み、筋量を上げながら再び戦う肉体を作り上げようとしている。
「変わらないといけないと感じた。筋肉量はチームでも少ない方だったし、知識もなかった」
新しい時代に備え、自己改革を進める。
普段の立ち居振る舞い同様、コメントはいつも控えめ。目標の設定も謙虚で、投げるポジションも問わなかった。だが、昨年末の契約更改後は珍しくポジションへの意欲を口にした。
「自分の真っすぐで勝負して、勝ちパターン、後ろの方で投げられるのがベスト。若い選手もいっぱいいるので、一軍のいい位置をとれるように頑張りたいです」
一岡にも、右腕の浅指屈筋挫傷を乗り越えた経験がある。この先にまた、新しい自分がいるはずだ。
昨季は27試合登板に終わった今村。
今村は緒方政権下の5年、敗戦処理からセットアッパー、抑えまで幅広い役割を務めた。1度も一軍登板ゼロがないままプロ10年を駆け抜けたものの、昨年は一軍初昇格が7月まで遅れ、27試合登板に終わった。これまで順風満帆に425試合投げてきたわけじゃない。苦しい時期もあった。
3年連続50試合登板から、'14、'15年は2年で計38試合にしか登板できなかった。それまでの自分の投球とのギャップに戸惑いながらも、殻を破って新しいスタイルを確立させた。'16年から2年連続で60試合以上に登板。'18年も43試合に投げた。
だからこそ「いろんなことにチャレンジしないといけないと思っている。自分の体を見つめ直して、いいところも悪いところも受け入れて、また成長したい。やれるんじゃないかなと思います」。再び這い上がる道筋は見えている。
「やるからにはチームの勝敗を左右するポジション、いいポジションで投げたい。ライバルは多い? 楽しみではあります。それはそれで」