プレミアリーグの時間BACK NUMBER
誰からも好かれるアンチェロッティ。
中位で喘ぐエバートンの再建なるか。
posted2020/01/10 11:40
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
プレミアリーグの後半戦は、イングランド北西部のマージーサイドから目が離せない。
ビートルズで有名な「マージービート」発祥の地では、リバプールが軽快にリーグ首位を独走中。ユルゲン・クロップ率いる昨季CL王者は、年始の21節(リバプールは20戦目)終了時点で後続を13ポイント以上も引き離し、国内での戴冠を阻む敵は「自滅」しか考えられない状態だ。
取りこぼしも考え難いほどの完成度を見せるクロップのリバプールは、無敗のまま30年ぶりのリーグ優勝を成し遂げる可能性もある。加えて、日本人のプレミアファンには南野拓実の存在が特に嬉しいところだろう。
元日に正式加入した日本代表FWは移籍5日目の1月5日、FAカップ3回戦で実現したホームでのマージーサイド・ダービーで、及第点以上のデビューを果たした。
意外だったアンチェロッティ就任。
対戦相手のエバートンは昨年末、かのカルロ・アンチェロッティと4年半契約を結んだ。60歳のイタリア人指揮官はクロップより世代は1つ上だが、同じ現役の大物監督。クラブの垣根を越えて愛される。よりイングランド風に言えば「他チームのファンも嫌いになれない」好人物として知られている。
その点はクロップも同様。つまりマージーサイドでは、実力者としても人格者としても人気の両監督が、同じ市内で指揮を執ることになった。
ただし、アンチェロッティ新体制が始まったばかりのチームと、クロップ体制5年目のチームには共通点が見当たらない。
飛ぶ鳥を落とすような勢いのリバプールに対して、監督交代前のエバートンはマルコ・シウバ体制下で降格圏まで4ポイントの15位に落ちていた。それだけに後任としてのビッグネーム登場は意外に思われた。
3度のCL優勝を含み、主要タイトル計15冠を誇るアンチェロッティは祖国でナポリの監督を追われたばかりだったとはいえ、ビッグクラブの監督を歴任してきた人物である。