“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
王者・青森山田が優勝候補だが……。
選手権で見たい注目選手リスト!
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/12/28 11:40
技巧派チーム同士の対戦となった昌平vs.興國は、1回戦の最注目カードだ。昌平は2年生須藤と鎌田大地の弟・大夢(写真)がカギを握る。
エース欠く尚志は2年生FWに注目。
昨年度ベスト4進出を果たした尚志(福島)は鹿島アントラーズ入りが内定する絶対的エースFW染野唯月の負傷欠場が決まった。その染野の代わりに9番を背負うのが2年生FW阿部要門だ。183cmの高さとフィジカルの強さを誇り、スピードも足元の技術もあるプロ注目の存在だ。
「ずっと染野さんのプレーを見てきて学ぶことが多かった。自分にもできると思っている」
2年間一緒に過ごした高校サッカー界屈指のストライカーの背中を見続け、自らの能力とリンクさせてきた阿部。仲村浩二監督も「素材的には唯月を超える選手になる可能性を持っている」と今大会での大化けを期待しており、要注目選手の1人だ。
2年前の選手権王者である前橋育英(群馬)は、あの優勝の瞬間をスタンドで見ていた選手たちが3年生になった。ここも尚志同様に各ポジションで熾烈なレギュラー争いを繰り広げられている。
チームの心臓となる“伝統”のダブルボランチには、3年生の渡邉綾平とプロ注目の2年生・櫻井辰徳が不動の存在となる。だが、ここにきて3年MF栗原諒、2年新井悠太が成長を見せ、選手権のピッチに誰が出てもおかしくない状況だ。さらにCBは激戦で、181cmの相原大輝、186cmの松岡迅、188cmの関礼恩とハイタワートリオがそろうが、2年生にも期待のDFたちが控えている。
「近年にないほどレギュラーが決まっていない」と山田耕介監督も口にしたように、激しいチーム内競争の中からチームが磨かれている。
昌平は鎌田弟と2年生10番に注目。
3年ぶり22回目の出場となった市立船橋もまた、全国トップレベルのタレントを誇る。
プロ入り内定者は、DF畑大雅(湘南ベルマーレ内定)とFW鈴木唯人(清水エスパルス内定)の2人。他にも屈強な左サイドバック・植松建斗、空中戦に強い183cmのCB鷹啄トラビス、守備の頭脳である2年CB石田侑資、攻守の要となるキャプテン町田雄亮と、各ポジションにタレントを擁し、全国の頂点を虎視眈々と見据える。
埼玉の技巧派集団・昌平も注目の存在だ。1年から10番を背負う2年MF須藤直輝はぜひ1度見て欲しいタレント。中盤での引き出しが豊富で、多彩な足技と虚を衝くパスでチャンスを作り出す。また、フランクフルトの鎌田大地を兄に持つMF鎌田大夢(福島ユナイテッドFC内定)にも期待が高まる。足元のテクニックに秀でていて、密集地帯でも顔を上げたドリブルからフィニッシュまで持ち込む力がある。
1回戦では同じくテクニシャン揃いの興國(大阪)と対戦。いきなり大会屈指の好ゲームとなる可能性を秘めている。前線からのハイプレスと、裏への飛び出しの速さを誇る2年FW小見洋太が、須藤や鎌田からのラストパスを鋭い動きでゴールに結びつけるシーンを期待したい。