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若月大和「選手権はきちんと観ます」
悔しさはJリーグで、世界で晴らす。 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2020/01/04 09:00

若月大和「選手権はきちんと観ます」悔しさはJリーグで、世界で晴らす。<Number Web> photograph by Takahito Ando

目標の選手権出場は逃したが、激動の1年間を過ごした若月大和。ライバルたちの戦いを目に焼きつけ、プロのステージへ挑む。

湘南内定、U-17日本代表選出。

 一方、若月個人で見れば環境が目まぐるしく変わる時間でもあった。

 桐生第一が県リーグからプリンスリーグ関東に昇格したことで、若月のプレーは多くの人たちの目に止まり始める。世代別日本代表に選出されると、いち早く湘南ベルマーレ入りが内定。たちまち注目される存在となった。

 その後、湘南とU-17日本代表での活動が増えていった。特別指定選手として、時間の許す限り湘南の練習に参加。4月10日のルヴァンカップグループステージ第3節・北海道コンサドーレ札幌戦でプロデビュー、さらに5月26日のJ1リーグ第13節ヴィッセル神戸戦で初のリーグ戦ベンチ入りを果たすと、77分にFW武富孝介に代わって投入され、リーグ初出場も飾った。インターハイ予選の期間は、U-17日本代表のアルゼンチン遠征に参加したことで高校の活動に帯同できず、エースを欠いたチームは準決勝で敗退してしまった。

 そして、迎えた高校最後の選手権県予選。

 その時期、若月はU-17W杯に出場するメンバーに選出された。候補を含めたU-17代表選手がいる千葉県、神奈川県、福岡県の対象チームは「県予選準決勝からの登場」と配慮があったが、群馬県だけはそれが適用されなかった。日本がU-17W杯で準決勝まで進んだ場合、若月は県予選初戦から準決勝まで出場できない状況だったのだ。

U-17W杯敗退で、前橋育英戦に間に合う。

 2回戦から登場した桐生第一は、若月を欠いたなかでも共愛学園に4-0、伊勢崎商に2-1と勝利し、ついに準決勝の前橋育英戦まで駒を進めた。

 一方で若月は、U-17W杯グループリーグ初戦オランダ戦で2ゴールをマーク。この日、日本が上げた3得点すべてに絡む活躍を見せるなど、初のベスト4入りへまい進を続けていた。だが、ラウンド16でメキシコに敗戦。若月はフル出場したがノーゴールに終わり、失意のうちに帰国することとなった。

「これまでのチームが成し得なかった(U-17W杯)ベスト8の壁を破りたかったし、破れると思っていた。悔しすぎるというか、本当にショックな敗戦だった」と悔しさを滲ませながらも「前橋育英戦に間に合うとわかったので、帰りの飛行機の中で気持ちを切り替えた」と、悲願の選手権出場に全力を尽くす覚悟を決めた。

 しかし、慣れ親しんだ場所に帰ってきたはずの彼に待っていたのは、“違和感”だった。

【次ページ】 「いない方がいいんじゃないのか?」

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