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若月大和「選手権はきちんと観ます」
悔しさはJリーグで、世界で晴らす。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2020/01/04 09:00
目標の選手権出場は逃したが、激動の1年間を過ごした若月大和。ライバルたちの戦いを目に焼きつけ、プロのステージへ挑む。
みんなが誇れるような選手に。
だが、前述したようにこの経験は若月にしか、彼らにしかできないものだった。
「U-17W杯と選手権予選。たった1カ月で同じ悔しさを2度味わう。本当に胸に刻まれた時間でした。心を引き裂かれるというか、こんな気持ちはどこに行っても味わえないという気持ちを味わえた。でも、両方ともただ悔しいだけでは終わりたくないので、そこを原動力にしないと意味がない。
そういうことができるのは自分の良さと思っているので、傷を抱えた状態でもっと這い上がれるように、これから桐一のチームメイトにはその姿を見てもらいたいし、見せたい。
全員で一緒に戦うことはもうないからこそ、僕がA代表とか高いレベルで戦っているところを見せたいし、誇ってもらいたい。『あいつ、昔、俺のチームメイトだったよ』とみんなが家族や友達、仕事関係の人たちに言えるように僕がなりたい」
高校サッカー選手権は観ますか?
「これから先、僕は誰にも負けないくらい仲間たちに背中を押されているので、どんなことがあっても負けない自信がある。そういうのを積み重ねて、自分をどんどん強くしていきたいと思います」
最後に「自分が出場しない選手権は観ますか?」という問いに対し、彼は笑みを浮かべながらこう答えた。
「選手権(予選)は悔しい結果だったけど、仲のいい選手も出るし、この先を考えると込み上げてくる感情にきちんと向き合わないといけないので、きちんと観ます」
湘南ベルマーレの一員として、その先の壮大な夢に向かって。こみ上げる感情に正面から向き合っている彼は、より大きく羽ばたくための準備に余念がない。仲間の優しい後押しを受けながら。