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若月大和「選手権はきちんと観ます」
悔しさはJリーグで、世界で晴らす。

posted2020/01/04 09:00

 
若月大和「選手権はきちんと観ます」悔しさはJリーグで、世界で晴らす。<Number Web> photograph by Takahito Ando

目標の選手権出場は逃したが、激動の1年間を過ごした若月大和。ライバルたちの戦いを目に焼きつけ、プロのステージへ挑む。

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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Takahito Ando

 2019年11月17日。第98回全国高校サッカー選手権大会群馬県予選準決勝。

 桐生第一は前橋育英に0-1で敗れた。

 この瞬間、桐生第一のエースFW若月大和は、ずっと憧れ続けていた高校サッカー最大の舞台である選手権出場の夢が潰えた。

「ごめん」

 若月の心の中に真っ先に浮かんだのはこの言葉だった。

「結局僕らは3年間、一度も全国大会に出ることができなかった。同じユニフォームを着て、同じピッチに立っているのに、(自分が)周りと違う場所にいるなという感覚でした」

 最後の最後まで拭えなかった違和感。それは彼しか、味わえない苦しみでもあった。

鈴木武蔵と兄の背中を追いかけて。

 群馬県に生まれ育ち、桐生第一サッカー部に進んだ兄の姿を追いかけ、自身も同じユニフォームを着ることを選んだ。

 兄が高1の時、桐生第一は当時高3だった鈴木武蔵らを擁して選手権に出場。その2年後にも選手権出場を果たし、若月はピッチに立つ先輩と兄の姿を見てきた。

「2回ともスタンドから家族と応援していたのですが、多くの観客と歓声の中でプレーしている選手たちを観て、小学生ながらに『選手権ってすごいな』と。その時に武蔵さんや兄のように桐生第一で選手権に出たいと強く思ったんです」

 だが、若月はその夢をなかなか掴めない。

 1年、2年ともに選手権予選決勝で前橋育英に敗れ、涙を飲んだ。夏のインターハイにも一度も出場できず、全国大会を経験しないまま高校生活ラストイヤーを迎えていた。

【次ページ】 湘南内定、U-17日本代表選出。

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