酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
イチローの「惜しい記録」って何だ。
データで総ざらい、2019年の野球。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/12/31 11:30
イチローの現役最後の試合が今年のことだとは思えない。それくらい2019年もまた、野球が日本中を沸かせた1年だった。
あと「1」で引退した2人の名選手。
【むしろ爽やかなあと「1」での引退】
あと「1」つながりで、他の選手の話題。あと「1」でマイルストーン(節目の記録)到達を目前に、日米の名選手が引退した。
イアン・キンズラー 1999安打
田中賢介 1499安打
キンズラーはレンジャーズ、タイガースでプレーし、昨年はエンゼルスで大谷翔平のチームメイトに、初本塁打の時に「サイレント・トリートメント」を主導したと言われる男は、MLB史上288人目の2000安打を目前に引退を表明した。
日本ハムのチームリーダーで、これまた大谷翔平のチームメイトだった田中賢介もNPB127人目の1500安打に1本足りない1499本で引退。田中は昨年末に今シーズン限りでの引退を表明していたが、控え野手としていい仕事をした。
そして最後まで1500本を目指してプレーしたが、果たせなかった。なお田中はサンフランシスコ・ジャイアンツで8安打しているので日米通算なら1507安打となる。
かなり無理をして大台をクリアする選手が多い昨今、2人の「あと1本での引退」は、むしろ爽やかではござらぬか、ご同役。
史上最高の満塁男・おかわり君。
【「満塁おかわり男」中村剛也】
このコラムでは西武の中村剛也をたびたび取り上げている。中村は今季2015年以来の打点王に輝いた。遠目から見れば見分けがつかない体型の山川穂高が売り出す中、「負けるか!」と思っているのだろうが、今季はなんとグランドスラムを4発も打った。
<NPB通算満塁本塁打5傑>
1 中村剛也 20本/1664試合
2 王貞治 15本/2831試合
3 藤井康雄 14本/1641試合
3 中村紀洋 14本/2267試合
5 小久保裕紀 13本/2057試合
5 江藤智 13本/1834試合
5 駒田徳広 13本/2063試合
5 井口資仁 13本/1915試合
試合数が1000試合以上も多い王貞治よりも5本も多い。シーズン満塁本塁打4発は、1950年の中日、西沢道夫の5本塁打に次ぐ2位タイだが、中村は2015年にも4発打っている。史上最高の「満塁男」だろう。