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ホークスは契約更改にて最強。
柳田&森の“次”は甲斐野に尾形。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNanae Suzuki
posted2020/01/05 11:40
7年という巨大契約を結び、生涯ソフトバンクを宣言した柳田悠岐。それを決意させるだけの環境がこのチームにはある。
12球団新人最高額の3500万円。
飛翔のキーマンに挙げたいのは甲斐野だ。
先述どおりフル回転を果たした右腕はルーキーイヤーで2勝5敗26ホールド8セーブ、防御率4.14の成績を残した。「防御率が気になる」と甲斐野は頭を掻いたが、9月中旬のファイターズ戦で2試合計、2/3回で7失点を喫したことがあった。
“たられば”は禁物だが、その後の試合では立て直しに成功しており、この2試合の投球を除けば「3.10」と1点以上改善される。
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契約更改ではこの数字についても球団幹部は考慮したことを認めて、12球団新人選手では最高額となる3500万円増の年俸5000万円で来季契約を交わしている。
ただ、やはり気になるのは「2年目のジンクス」以上に「疲労の蓄積」である。そこについて甲斐野は「肩を休めすぎず、軽めのキャッチボールなどは行っています。あとは柔軟性を上げるためのトレーニングなどをしています」と話した。大事なのはオフの過ごし方だ。その点で、1月の自主トレは最高の選択をしたといえる。
「森さんにお願いをして、グアムで一緒に練習をさせてもらいます。兄貴分としてではなく、プロの一流の選手と一緒にやりたいという思いで決めました」
甲斐野いわく「なかなかマジメなことは言ってくれないですけどね(笑)」とはにかんでいたが、森に話を振ると「自分の伝えられることはしっかりと伝えてあげたい」とウエルカム宣言で応えていた。
奪三振率20の以上な数字。
また、現時点では“無印”ながら、2020年シーズンに新風を巻き起こす選手も現れるだろう。
“育成の星”が頻出するホークスだ。2019年は周東佑京、2018年は大竹耕太郎だった。そして2020年の筆頭候補は、高卒3年目になる右腕の尾形崇斗だ。
学法石川高校から育成ドラフト1位で入団。2019年シーズンは二軍公式戦で登板1試合のみだが、投げているボールを見るとそれが信じられない。とにかく三振を奪う能力に長けている。
主に三軍戦である非公式戦では58回2/3を投げて86奪三振を記録。秋のフェニックスリーグでは計6試合8イニングを投げて被安打1、無四球の無失点18奪三振。じつに24アウトの75%を三振で取った。奪三振率「20.25」は普通お目にかかれない数字だ。
その後は台湾で行われたアジアウインターベースボールリーグにも参戦し、10試合で防御率0.77、11回2/3を投げて23奪三振(奪三振率17.74)を記録した。