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プロレス大賞男オカダ・カズチカの悩み。
東京五輪に負けないプロレス人気を!
posted2020/01/02 11:40
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
オカダ・カズチカは悩んでいた。どうすれば、「プロレス大賞MVP」を取り返すことができるのかと。
2019年のプロレス大賞MVPにはオカダが選ばれた。「年間最高試合」も2019年10月14日、両国国技館で行われたSANADAとのIWGPヘビー級戦が選出されてダブル受賞となった。
オカダは悩みを抱えていた。2017年1月4日、東京ドームでのケニー・オメガとのIWGP戦で世界をあんなに驚かせても、IWGPを連続防衛し続けても、2016年、2017年、2018年と3年間、オカダにはプロレス大賞MVPの栄冠が戻って来ない状況が生まれていた。
その最初の2年間は内藤哲也ブームとその人気に押されて。2018年は引導を渡したはずの棚橋弘至の踏ん張りにMVPという栄冠を持っていかれてしまっていた。
どうすれば、MVPがオカダの元に戻って来るのか……オカダはそれを考えるようになっていた、と吐露した。「何をすればいんだ」と。
それは、2019年にMVPを無事取り返すことができたから告白できた悩みだった。
「ライバル」に指名したのはSANADA。
MVPを奪還するというその目的に対する手段が、SANADAという同世代のレスラーとの試合だった。今年3月の長岡でのニュージャパンカップ決勝でのSANADAとの対戦で感銘を受けたオカダは、同世代のSANADAを「ライバル」に指名した。
2019年4月にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでジェイ・ホワイトからIWGP王座を奪還すると、5月の福岡では約束通りSANADAとその初防衛戦を行った。
6月には大阪でクリス・ジェリコの挑戦を退けた。8月にはロンドンで鈴木みのるを相手にIWGPの防衛を重ねた。
そして、10月の両国国技館で、また防衛戦の相手にSANADAを指名した。オカダの作戦通り、このSANADAとのIWGP戦が今年の「年間最高試合賞」に選ばれた。