熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
独占。恩師クルピが南野にエール。
「香川真司の存在がタクミを……」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2019/12/23 12:00
ブラジルでの直撃取材に応じてくれたクルピ氏。セレッソ大阪で香川、南野の才能を伸ばした名伯楽だ。
彼には成功を収めた経験がある。
――そのためには、何が必要でしょうか?
クルピ「試合に出るためには何が足りないかをよく考え、地道に練習して、すべての面でさらに向上すること。プレミアリーグは世界で最もレベルが高いが、そのような環境にいられることに感謝し、1日1日を楽しみながら、自分の才能をさらに伸ばしてほしい。
彼の場合、それまでより格段に高いレベルに挑み、そこで成功を収めた経験を、すでにセレッソとザルツブルクで積んでいる。そのための自分なりのノウハウを持っているはずだ。もちろん、今回の壁はとてつもなく高いけれどね」
クルピは喜びを隠し切れなかった。
2007年5月、クルピは当時J2のセレッソ大阪で控えのボランチだった18歳2カ月の香川真司を攻撃的MFにコンバートし、しかもレギュラーに抜擢。以後、3年余り指導してセレッソと日本代表の主力に育て上げ、ドルトムントへ送り出した。
香川がドイツで大きな成功を収めたことで、欧州における日本人選手への評価が急上昇。以後、多くの日本人選手がドイツをはじめとする欧州各国でプレーしている。
そして、オーストリアリーグで4季半プレーした南野拓実が、来年の元日から、世界最高峰のリーグの、しかも世界最強クラブで新たな挑戦を始める。
自分がプロの世界に送り出した選手たちが世界の舞台に立ち、躍動していることに、クルピは喜びを隠し切れない様子だった。
その一方で、彼らが現状に満足することなくさらに上を目指すこと、そして第二、第三の香川と南野の出現を望んでいることが強く印象に残った。