熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
独占。恩師クルピが南野にエール。
「香川真司の存在がタクミを……」
posted2019/12/23 12:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Hiroaki Sawada
ブラジル南部クリチーバの瀟洒なアパートの最上階を訪ねると、その人は人懐っこい笑みを浮かべ、両手を広げて迎えてくれた。
開口一番、「先ほど、タクミ・ミナミノのリバプール入りが決まりました」と告げると、「ああ、やっぱりそうか。気になっていたんだ」と相好を崩した。
その数日前に監督業から引退する意向を表明したので、日本時代を含むこれまでのキャリアを振り返ってもらうつもりでインタビューを申し込んでいた。そして、取材に指定された日が、奇しくも彼の教え子の欧州メガクラブへの移籍発表と重なったのである。
初めて見たのは2010年前後かな。
――初めて南野を見たのはいつだったか覚えていますか?
レヴィー・クルピ(以下、クルピ)「正確な日時はわからないが、2010年前後じゃなかったかな。彼がセレッソ(大阪)のトップチームに昇格する前で、確かU-18で練習していたのを見かけたのだと思う」
――第一印象は?
クルピ「決して大柄ではないがテクニックがしっかりしており、俊敏だった。アイディアが豊富で、なおかつ自分が次にやるべきことがわかっており、それを自信を持って実行していた。フットボールをよく理解しており、非常にクレバーな少年だと思った」
――その若者が、いずれ欧州で活躍し、欧州最強クラブに迎え入れられると思っていましたか?
クルピ「(勢いよく)もちろんだ!……いや、それは冗談だよ(笑)。でも、何度か練習する姿を見て、ずば抜けた才能の持ち主であるのはすぐにわかった。
とはいえ、フットボールの世界では、才能があるだけでは成功できない。非常に多くの要素が絡むし、環境にも大きく左右される。しかも、生身の人間がやることだからね」