熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
独占。恩師クルピが南野にエール。
「香川真司の存在がタクミを……」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2019/12/23 12:00
ブラジルでの直撃取材に応じてくれたクルピ氏。セレッソ大阪で香川、南野の才能を伸ばした名伯楽だ。
タクミはフィルミーノより……。
――リバプールの監督は、ドイツ人のユルゲン・クロップ。かつてドルトムントで香川を指導した名将です。香川を通して日本人選手の良さを知り、そのことが南野の獲得につながった、という見方があります。
クルピ「香川の存在が南野を助けた部分があるとしたら、2人を指導した者として非常に嬉しい。ただ、もっと重要なことがある。タクミには高度な技術があり、攻撃的なポジションならどこでもこなすことができ、守備面でもしっかり貢献できる。クロップが、リバプールがタクミを欲しいと思ったのは、このような彼の資質を高く評価したからだろう」
――今後、南野はリバプールでどのような使われ方をすると思いますか?
クルピ「もうすぐ25歳になるんだよな? 今後の数年間が、彼の選手としての価値を決める。クロップ監督は、当然、即戦力として取ったはず。タイプとしてはロベルト・フィルミーノに近いが、タクミはフィルミーノよりも決定力が高い選手になれる。
当面は、フィルミーノがこなしているCFのポジションを狙えるし、左右ウイング、2列目でもプレーできる。ただ、便利屋ではなく、絶対的なレギュラーになってほしい」
リバプールに入っただけではダメ。
――南野が欧州を代表するビッグクラブに入ったことは、日本のフットボールにとって何を意味すると思いますか?
クルピ「Jリーグの下部組織で育った選手がこのレベルのクラブへ入ったことは、日本のフットボール全体にとって極めて大きな意味を持つ。若い選手たちは、『自分もタクミのようになるんだ」と奮い立つだろう。また、日本代表レベルの選手たちにも強烈な刺激となるはずだ。
ただし、タクミにとってはこれからが勝負。過去、日本人選手が欧州ビッグクラブに入った例はいくつかあるが、長期間、レギュラーとしてプレーしたケースはほとんどない。タクミの場合も、リバプールに入っただけではダメ。最初はすぐに試合に出られないかもしれないが、徐々に出場機会を増やし、できるだけ早くレギュラーになり、ひいてはチームの主力になってほしい。またそうでなければ、入った意味がない」