熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
独占。恩師クルピが南野にエール。
「香川真司の存在がタクミを……」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2019/12/23 12:00
ブラジルでの直撃取材に応じてくれたクルピ氏。セレッソ大阪で香川、南野の才能を伸ばした名伯楽だ。
15歳だろうが40歳だろうが関係ない。
――2012年8月、セレッソは南野を2種登録をしてトップチームの試合に出場できる条件を整え、この年の11月、あなたが彼を初めてプロのピッチに立たせます。
クルピ「当時、彼は17歳だったんだよな? 日本人監督は若い選手をデビューさせるのをためらう人が多いようだが、私は『選手に年齢は関係ない』という考えだ。
例えば、シンジ(香川真司。現サラゴサ)も18歳でデビューさせている。タクミはセレッソの下部組織出身だったこともあって、シンジよりさらに早かったというわけだ。試合を前にして私が考えるのは、チームにとってベストの選手を起用すること。それだけだ。
その選手が15歳だろうが40歳だろうが、全く関係ない。とはいえ、将来有望な若手を起用したら、その後の成長を促すことが多い。だから、力が全く同じだと思ったら、若い方を選ぶことが多い」
――2012年11月のJリーグ大宮アルディージャ戦で後半途中から初出場させ、次節のサンフレッチェ広島戦では故障者が出たこともあって前半途中から起用。そして、最終節(対川崎フロンターレ)で初めて先発させました。
クルピ「あれは、『来季は君にとても期待している』というメッセージ。そのことは、本人も理解してくれたんじゃないかな」
「この少年には特別な才能がある」
――さらに、12月の天皇杯4回戦(対清水エスパルス)でもフル出場。南野は初ゴールを決めます。
クルピ「あのときのことは、今でもよく覚えている。スルーパスを受けて抜け出し、左足で思い切りのよいシュートを放った。17歳のルーキーとは思えないプレー。あれを見て、『この少年には特別な才能がある』と確信した」
――あなたの期待に応えて、2013年、彼は飛躍します。29試合に出場して5得点。この年のベスト・ヤングプレーヤーにも選出されます。
クルピ「故障をしているとき以外は、全部の試合で使ったんじゃないかな。ゴールへ向かう気持ちがとても強く、精神的にも逞しい。良いプレーをしても驕らずに、その反対に失敗しても挫けない。常に同じように練習し、同じように次の試合への準備をする。
試合の度に成長している感触があり、将来、シンジに優るとも劣らない選手になると思った」