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バルサの神童アンス・ファティ。
アフリカの内戦に追われスペインへ。 

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ロムアルド・ガデベク

ロムアルド・ガデベクRomuald Gadegbeku

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photograph byMiguel Ruiz/FC Barcelona

posted2019/12/26 07:00

バルサの神童アンス・ファティ。アフリカの内戦に追われスペインへ。<Number Web> photograph by Miguel Ruiz/FC Barcelona

バルセロナで16歳と304日目にしてゴールを決めたアンス・ファティ。バルサの最年少ゴール記録を見事に更新した。

断固バルサ移籍を阻止したかったセビージャ。

 ボリ・ファティは「運命とチャンス」を感じてアンダルシアに到達した。その旅が、彼の息子にピッチ内外で輝く機会を与えた。再びメニャ会長が語る。

「自分がどこからスタートしたかよく理解しているのはアンスの大きな力だ。彼のドリブルやスピードがしばしば話題になるが、彼には勇気と強い気持ちがある。だからプレッシャーにも耐えられるし、自分自身をよくわきまえている。まだ17歳の若者に過ぎないが、苦しいときにこそ彼の本当の力が発揮される」

 メンタルの強さは、10歳でバルセロナと契約する際にすでに発揮されていた。

 FCセビージャの首脳たちは、彼が下した選択に怒り狂い移籍を阻止したうえに1年間試合に出場させなかった。さらに2014年には、FIFAからも処分を受け数カ月にわたりバルセロナでもピッチから遠ざけられた。次の年の終わりには、脛骨骨折という大けがにも見舞われ、さらに1年間の欠場を余儀なくされた。

 だが、その若さにもかかわらず、彼はそのたびに強い気持ちを発揮して困難を乗り越えたのだった。

もしかすると最も辛い時期は終わったのかも……。

 そんな風に常に冷静さを保っていられるのは、アンス・ファティの最大の武器であるといえる。

 父親は、アンダルシアとバルセロナを往復しながら活躍する息子の姿を静かに見守っている。

「彼は自分の出自――ギニアビサウの出身であることをよく理解している。またエレラで育ったことも。当時から多くの人々が彼を助けてきたこともよくわかっている。だからいつも謙虚な気持ちでいられる」

 17歳ながら、アンス・ファティはここまで数奇な運命を辿ってきた。

 だが彼にとって、ギニアビサウからエレラを経てバルセロナに至る旅を経る中で最も困難な時期は、すでに過ぎ去ったと言えるのだろう。

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