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巨人からメジャー目指す山口俊。
マウンドと“鈍感力”が意外と合う?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2019/12/13 20:00
記者会見でメジャーリーグ挑戦を表明する巨人の山口俊投手(中央)。左は原監督、右は今村球団社長。
日本の投手の中ではメジャー向き?
ただ、実は山口という投手は、日本の投手の中では、むしろメジャー向きの投手ではないかと思える根拠がある。
その理由はメジャーのマウンドへの適応力だった。
開幕前に少し話題になったが、今季はいくつかの球場のマウンドがメジャー仕様の固いマウンドに作り変えられていた。
これまでの日本の球場のマウンドは土が柔らかめで高さもメジャーに比べると低く作られていた。
柔らかい土だと軸足を踏ん張るプレート付近も、踏み出した足の着地点も、深く掘れる。すると踏み出した足を、その穴がしっかり受け止めて、下半身を低く粘って使いながらボールをリリースできる。
いわゆる下半身の粘りを使った投げ方の投手が、日本のマウンドでは有利と言われる理由だ。
水野コーチの見立て。
ただ、山口の投げ方は違う。
上半身の力をしっかり溜め込んで、踏み出した左足で粘るのではなく、高い重心でその足を軸にテコの原理を使ったように一気に腕を振ってリリースする。
「多分、一番合っているのは山口でしょう」
巨人でメジャー仕様のマウンドの特性を生かせる投手は誰か? 開幕前に水野雄仁一軍投手コーチ(現一~三軍巡回コーチ)と話をすると、いの一番に挙げたのがこの右腕の名前だった。
水野コーチの見立て通りに、マウンドの変化がもたらした山口への影響は、今季の投球データからも読み取れた。