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巨人からメジャー目指す山口俊。
マウンドと“鈍感力”が意外と合う?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2019/12/13 20:00
記者会見でメジャーリーグ挑戦を表明する巨人の山口俊投手(中央)。左は原監督、右は今村球団社長。
環境の変化への適応力が必要。
「でも山口ってほとんどそういうことを気にしないんですよ。マウンドが投げにくいとか、投げやすいとか、どの球場が好きとか、嫌いとか。そういうことを一切、言わないし、そもそも気にしないタイプなんです。
結果的にメジャー仕様のマウンドになったら、いいものが出ると思うけど、本人にはその自覚はない。少なくともそういうことは意識していないし、考えてもいないと思いますね」
環境の変化への“鈍感力”がある。
メジャーに移籍すれば気候が変わり、食事も変わる。相手も変わり、ボールも変わり、そしてマウンドも変わる。メジャーで成功するには、まず試されるのがそうした環境の変化への適応力だ。でも、山口はいい意味で、そうした変化に鈍感になれる。
そこがメジャー向きの投手と思わせるもう1つの理由なのである。
「僕なりの読売ジャイアンツへの恩返し」
FAでDeNAから移籍して3年。2017年の暴行事件もあり、一時は野球ができなくなることすら覚悟した右腕が、球団史上初のポスティング移籍という大きな道を開いたのも何かの因縁かもしれない。
「僕自身は甘えを持たず、しっかり前を向いて頑張りたい。生半可な気持ちではいけないと思うし、アメリカで結果を残すことが僕なりの読売ジャイアンツへの恩返しになると思います」
1年後に山口がどのチームで、どんな成績を残しているか。メジャーを目指す投手の1つの指標としても、その結果に注目したい。