プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人からメジャー目指す山口俊。
マウンドと“鈍感力”が意外と合う?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2019/12/13 20:00
記者会見でメジャーリーグ挑戦を表明する巨人の山口俊投手(中央)。左は原監督、右は今村球団社長。
現地での評価が上がってこない。
何より故障で苦しんだエース・菅野智之投手の穴を埋めて、巨人の投手陣の屋台骨を支えてチームの5年振りのリーグ優勝の原動力となり、自身も念願の美酒を初めて味わった。
そういう意味ではメジャー挑戦という思いを胸に戦った今季は山口にとっても、プロ生活で最高のシーズンだったはずである。
だからこそ自信を持ってのメジャー挑戦だったはずだが、肝心の現地での評価がもうひとつ、上がってこないのが現状だ。
「プレミア12」では痛打された。
探せば不安材料はある。
最も大きいのは32歳という年齢とメジャーの打者相手に実績が全くないことだ。
今のメジャーでは20代後半でFAの権利を取得して力に応じた契約が結ばれ、そこが基準となって30代の評価も固まっていく。
同じ30代の投手でも、山口はメジャーでの実績はもちろん、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での実績もゼロである。年齢的に伸び代も計算できず、どう評価するかに獲得する側が苦慮しているという図式なのである。
決め球にスプリットがあることは評価の対象だが、侍ジャパンの一員として出場した「プレミア12」では真っ直ぐやシュートを痛打されるケースが多く見られた。
そこがマイナス印象になっているのも、なかなか希望通りに話が進まない理由なのかもしれない。
本人が希望する先発ではなく中継ぎ要員……ひょっとしたらメジャー契約ではなくマイナー契約になるのではないか。様々な憶測が現地メディアの間でも流れている。
それが山口を取り巻く現状なのである。