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八村塁がNBA首位と激突したら……。
レイカーズ&レブロン達に喰らった洗礼。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2019/12/14 08:00
レブロン・ジェームズと競り合う八村塁。NBAのレジェンドを相手に、一歩も引かない激しいプレーを見せたが……。
レイカーズはNBAでも首位を走る強豪チーム。
「もっと強くいかなきゃいけないなっていうのは感じました。ダンクしてもブロックされるという高いレベルでやっている中で、どんどん、僕ももっと鍛えて、速くジャンプできるとか、そういうところをしっかり身につけていかなきゃいけない」
試合後、八村はそう言って、ブロックされた場面を振り返った。
一方で、通用していた部分があったのは励みになり、自信にもなった。
今シーズンのレイカーズはNBAでも首位を走る強豪チーム。レブロンも昨季の故障から復活し、デイビスも移籍して、どちらもリーグのトッププレイヤーらしいプレーで周囲を圧倒する活躍をしていた。そんな選手たち相手に、16点、8リバウンドをあげた。試合は103-125と完敗だったが、自分でも通用する部分があるというのは自信になった。
日本語の取材では「自信」という言葉は使わなかった八村だが、その後にアメリカ人記者たちの質問に英語で答えたときには、「リーグでも最高の選手の1人を相手にできたのは、自信になった」と語った。そう言ってから、さらにこうも付け加えた。
「でも、僕はそれだけで満足はしない。もっと上を目指したい」
「試合前も不思議な感じになって……」
八村が試合を戦うためにステープルズセンターに来たのはこれが3度目だった。
最初はゴンザガ大1年のときのアリゾナ大戦。母が日本から観戦に来てくれていたが、まだベンチから見て学ぶ立場だった八村には出番が回ってこないうちに試合は終わった。
2度目は大学2年のときのNCAAトーナメント3回戦。シーズン通して控えにまわっていた八村だったが、チームメイトの故障で、試合直前にスターターに抜擢された。奮闘したものの、フロリダステイト大相手に敗れてシーズンを終えた苦い思い出の試合だ。
会場自体は3度目とはいえ、NBAの試合を戦うために来るステープルズセンターは、また別世界だったようだ。
「試合前も不思議な感じになって、すごい夢みたいな感じだったのを覚えています」と八村。数時間前のことを振り返るのに「覚えています」という表現を使ったことにも、いかに現実離れした時間だったかがうかがえる。
NBAに入ってから、傍目にはごく自然に、堂々とNBAのコートでプレーしているように見える八村だが、こんな言葉を聞くと、すべてを新しく経験するルーキーであることを思い出す。